群馬の郵便局で午前中の窓口業務を休止、局員は配達業務…全国初の試み : 読売新聞
日本郵便は、利用客の低迷が続く群馬県中之条町小雨の 六合(くに) 郵便局と同町入山の入山郵便局で5月1日から午前中の窓口業務を休止し、局員を配達業務に充てる。業務の効率化が狙いで、全国初の試みだ。利用者の反応などを見ながら、本格導入するか検討するとしている。利便性が下がる住民からは理解の一方、懸念の声も出ている。
5月から午前中の窓口業務が休止となる六合郵便局(23日、中之条町小雨で)同社によると、2郵便局では平日午前9時~午後5時に開けていた郵便窓口を同1~5時に短縮し、貯金や保険の窓口、ATM(現金自動預け払い機)の稼働も平日は午後のみとする。2郵便局がある同町六合地域(旧六合村)への郵便物は現在、隣接する草津町の草津郵便局員が配達しているが、5月以降は2郵便局の職員が午前は草津郵便局に出勤し、同地域への配達を担う。
中之条町によると、同地域の今年4月時点の人口は985人で、同町と合併した直後の2010年4月の1707人から約4割減少。これに伴い、郵便局の利用者数が低迷していた。また、配達を担う人材が不足する事態に備え、同社は窓口と配達を兼務できる職員がいた2郵便局で、窓口業務を縮小して配達業務を手厚くする試みを始めることにした。
ただ、地域では不安の声も出ている。同町の男性(56)は、大学に通う長男と次男に毎月、郵便局から仕送りをしている。畑仕事が忙しくなる夏場は午後に郵便局に行くのは難しいといい、「不便になる。せめてATMだけでも午前に使えるようにしてほしい」とこぼす。
一方、同町の 花卉(かき) 農家(74)からは「採算を考えるとやむを得ない。これからは午後に行くようにすればいい」と理解を示す声もあった。
日本郵便は、岐阜県中津川市の宿場町「 馬籠宿(まごめじゅく) 」でも、観光客利用を見込んで馬籠郵便局の窓口を土日祝日も開き、代わりに平日の営業を午前だけにする試みを6月に始める。同社広報宣伝部は「客のニーズや地域の事情に応じてサービスを安定して提供するための試み」と説明。今回の状況を見て、取り組みを他の地域に広げるか検討する。