Nothing Phone (3a) は、安価で「クール」なスマホを求める人にオススメ
アメリカでは先月発売された「Nothing Phone (3a)」「Nothing Phone (3a) Pro」。
日本では「Nothing Phone (3a)」がNothing公式ストアおよび楽天モバイルで発売中です。
Nothing Phoneはもう何年も同じスマホを使い続けて実はもう飽きちゃってるって人にオススメの、お手頃価格でのクールな尖ったAndroidスマホです。
「Nothing Phone (3a) Pro」については、現時点で日本市場での発売は未定なのですが、米Gizmodo編集部によるがっつりレビューをお届け。日本発売に備えて参考になれば!
同じスマホに飽きちゃった人は、Nothing Phoneにチャレンジするといいかもしれません。昨今の物価高騰の最中、379ドル(日本では5万4800円で発売)の驚きの低価格のAndroidスマホで、背面が透明でLEDが光って、たまごっちみたくピコピコ音が鳴ったりしちゃって、搭載されているソフトウェアにも遊び心満載です。
いやいや、もうすぐGoogle Pixel 9aが発売されるだろうし、もう少しお金を出せば、もっとスペックがよいスマホが手に入ると思いますよね。でもそれは、スマホの何を重視したいかによります。
もし「かっこよさ」を求めていて、Androidのスマートフォンを持つことで「少数派の優越感」だった昔を懐かしく感じちゃうなら、Nothing Phone (3a) や (3a) Pro は、あなたの好みかもしれません(ただしアメリカでは「ベータプログラム」に参加しないと購入できません)。
Image: Florence Ion / Gizmodo USNothing Phone (3a)/Phone (3a) Pro
■評価:★★★★☆
■良いところ
・追加されたEssential Key(エッセンシャルキー)は便利
・価格の割にはAMOLEDディスプレイはとても明るく見やすい
・ライトアップ機能は相変わらず楽しい
■残念なところ
・高価格帯のデバイスのようなズーム性能は期待できず
・「Essential Spaces(エッセンシャル・スペース)」は、現時点ではまだマストと言えるほどではない
スペックは完全に進化
前モデルのNothing Phone (2a) の外観は相変わらずクールでよかったのですが、カメラの性能がイマイチで、ぶっちゃけちょっと物足りませんでした。しかし今回のスペックを見る限り、Nothing Phone (3a) と Phone (3a) Pro は明らかに進化しています。今年のモデルはどちらもQualcomm製のチップを搭載し、さらに望遠レンズも搭載、500ドル以下という価格帯としてはかなり頑張ってる。
Nothing Phone (3a) と Phone (3a) Pro は同じサイズですが、唯一の違いはカメラのハードウェアです。どちらもNothing Phone十八番のシースルーの透明デザインですが、内部のコンポーネントは、さまざまなグレーのパネルで上手く覆われていて、背面にあるLEDライト「Glyph(グリフ)」が点灯したときのコントラストがかっこよくなるのが特徴的。ライトはアラームやアプリからの通知等が一気に届いたときに点灯します。カラバリはブラックもあるので、お好みで選ぶことができますよ。
Nothing Phone(3a) ProImage: Florence Ion / Gizmodo USNothing Phone(3a) ProImage: Florence Ion / Gizmodo USNothing Phone (3a) と Phone (3a) Pro は、ディスプレイもまったく同じ、6.7インチのAMOLEDディスプレイで、最大120Hzの可変リフレッシュレートに対応しています。 色の再現性としても、Samsung(サムスン)のSuper AMOLEDにも匹敵するほど鮮やかで、この価格帯のデバイスとしてはかなり優秀です。ただ白の色味だけは、値段が約2倍するSamsung Galaxy S25の方がはるかに明るく感じます。 画面サイズが大きい分、横幅も広め。もし小さいスマホが好みなら、Google Pixel 9aを待つのもよいと思いますが、Nothing Phone (3a) Proよりは高くなります。
Nothing Phone(3a) ProImage: Florence Ion / Gizmodo USNothing Phone (3a) と Phone (3a) Pro の違いはカメラシステム
Nothing Phone (3a) の方は楕円形のリアカメラモジュールが特徴的で、50メガピクセルのメインカメラと8メガピクセルの超広角カメラ、そして2倍光学ズーム対応の50メガピクセルの望遠カメラを搭載しています。
Nothing Phone (3a) Proは円形の背面デザインで、こちらも50メガピクセルのメインカメラと8メガピクセルの超広角カメラを備えています。違いは3倍光学ズーム対応の50メガピクセルのペリスコープ型望遠カメラを搭載している点です。
The Nothing Phone (3a) Image: Florence Ion / Gizmodo US Nothing Phone (3a) Image: Florence Ion / Gizmodo USプロセッサも悪くなく、サクサク動く
そしてチップはQualcommのSnapdragon 7s Gen 3。Pixelやサムスンの端末に搭載されているものと同じで、端末上でAI処理が実行できるように設計されたミドルレンジのプロセッサです。
Geekbench 6のベンチマークテストがスマートフォンのスペックを決めるわけではありませんが、Nothing Phone (3a)/(3a) Pro のスコアは、同じスペックの他の端末よりも高くなっています。これは内蔵されている12GBのRAMのおかげですね。
さらに、最大20GBまでのRAMを追加的に利用できるRAMブースター機能もあり、これはゲームなど負荷の高い処理を行なうときに仮想的なシステムリソースを追加割り当てする機能です。この追加RAMでアプリの起動速度が速くなるわけではありませんが、Pokémon GoやSpotifyなど、リソースを多く使うアプリ間の切り替えをスムーズにしてくれます。また人気の『Asphalt Legends』のようなゲームも、サクッと遅れを感じることもなくなります。
Nothing Phone (3a) Image: Florence Ion / Gizmodo USバッテリー持ちや他のスペックも十分
Nothing Phone (3a) のバッテリーの持ち具合についても、普通に日々スマホを使う分には十分です。5,000mAhのバッテリーは、朝から夜まで充電することなく使い続けても耐えられます。本格的なストリーミングバッテリーテストはこれから行なう予定ですが、1週間使ってみた限りは、Spotifyをストリーミングし続け、1日中SNSを見ていても、どちらもバッテリー持ちは問題有りませんでした。
Nothing Phone (3a) と Phone (3a) Pro のステレオスピーカーは低音がしっかりしていて、大音量で音楽を流すと、フルサイズのBluetoothスピーカーのような臨場感があります。お化粧中にノリノリになるには十分なクオリティ。
セキュリティ面では、どちらの端末も顔認証と画面内指紋認証の2種類の生体認証オプションがあり、端末のセキュリティ面を重視する人にも安心だと思います。ただし、防塵・防水性能はIP64等級にとどまっているため、水やほこりには十分注意する必要があります。
Nothing Phone (3a)/(3a) Pro は通知が届くと「ピッ」と音が鳴ります。この音は、Nothing OS(Android 15をベースにした独自ソフトウェア)にあらかじめ設定されているデフォルトの通知音です。 ただ、この通知音が何度も連続して鳴ると、かなりうるさくて鬱陶しく感じます。もちろんこの通知音が嫌なら、別の音に変更したりオフすればよいわけですが、でもこういった端末独自の仕様からしても、「Nothingスタイル」がデバイスの細部にまで宿っているなあと感じますね。
Nothing Phone (3a) と(3a) Proを並べてみたところImage: Florence Ion / Gizmodo US「Nothingスタイル」は、AIの扱い方まで波及しています。AI機能が集約されている「Essential Space」の主な機能のひとつが「Essential Key」で、これは本体右側の電源ボタンの下にある物理ボタン。設定すれば、このボタンを押すだけでスクリーンショットの撮影や、長押しすることで音声メモを録音したりできます。そしてその音声は、AIで自動で文字起こしをしてくれて「Nothing Essential」ノートアプリに保存されます。
個人的にこの機能はお気に入りで、Google Pixelシリーズににもある機能とも似ていますが、専用のボタンに統合されていて、いつでもすぐに使えるというのがいい感じです。ただし「Essential Space」が将来的に有料なるかもしれないというニュースと、このボタンの機能を他のショートカットに簡単に割り当て直す手段が用意されていないのは少々気がかりです。
Image: Florence Ion / Gizmodo USImage: Florence Ion / Gizmodo USカメラの性能はいかに?
でも、多くの人が気になっているのは何よりもカメラですよね。
Nothing Phone (3a) と Phone (3a) Pro のカメラのクオリティは、確実に改善されていると思います。写真の画質はさらにシャープになって、Google Pixel 8a や iPhone 16 など、他のミドルレンジスマートフォンと同等レベルの仕上がりです。画像処理アルゴリズムも「やり過ぎ感」なく、Pixel の「AIマジック」写真によくあるような「ざらっと後処理した感じ」もありません。 Phone (3a) Pro では、小物に寄って撮影したときも、いい感じの背景ボケを再現してくれました。
またどちらの機種も、前モデルの Phone (2a) より夜間撮影の性能が大きく改善されており、暗い場所でもしっかり撮影できるようになっています。f/1.9のレンズ絞り値をブーストするために、アルゴリズムでちょっと過剰に明るく補正しちゃうこともありました。ちなみに、ハイエンドスマートフォンの多くは最低でもf/1.6で撮影しています。
Nothing Phone (3a) で 撮影Image: Florence Ion / Gizmodo USNothing Phone (3a) で 撮影Image: Florence Ion / Gizmodo USNothing Phone (3a)で撮影Image: Florence Ion / Gizmodo USNothing Phone (3a)で撮影Image: Florence Ion / Gizmodo USNothing Phone (3a) Pro のズーム機能は優秀ではありすが、倍の値段の他社のハイエンドな「Pro」クラスのレンズには及びません。とはいえ、この価格帯の割にはズームで寄っても「ソフトウェア処理感」を感じさせず、画像がシャープに保たれているのは素晴らしいですね。6倍を超えるまでは、輪郭がギザギザしだすなどの「ズームによる画像の乱れ」もわからないレベルです。
Nothing Phone (3a) Pro 1倍で撮影Image: Florence Ion / Gizmodo USothing Phone (3a) Pro 3倍で撮影Image: Florence Ion / Gizmodo USothing Phone (3a) Pro 6倍で撮影Image: Florence Ion / Gizmodo USNothing Phone、おすすめ!
Nothing Phone (3a) と Phone (3a) Pro は「世界最強」のスマートフォンを求めていない人にとっては、とてもお得な選択肢です。
Phone (3a) は379ドル(日本では5万4800円で発売)から、Phone (3a) Pro は459ドル(約6.8万円)から手に入り、どちらも256GBのストレージを備えています。この長いレビュー記事をここまで読み進めてくれている時点で、Nothing Phoneは「他と何が違うのか」をすごく気にしているのだと思います。これこそがこのスマホの魅力です。
スペックがどうとかより「今のスマホに飽きた」という人に刺さるのだと思います。Nothingは、スマホを手にして夢中になっていたかつてのAndroid文化の面影を、今でも大切にしている数少ないメーカーのひとつです。
また、Google(グーグル)とサムスンが手を組んで進めているGemini AI(生成AI)路線に疲れちゃった人にとっても、Nothing Phone (3a)/(3a) Pro はよい「逃げ道」になるかもしれません。
Nothing PhoneにはGeminiのようなAIが強制的に搭載されておらず、Nothing独自のAIの試みはあるものの、控えめです。 少なくとも、何か新しいことに挑戦する代わりに、大きな犠牲を強いられるようなスマホではありません。透けて見えるこの最新世代のスマートフォンは、「普通に飽きた人」にちょうどよい選択肢ですね。