生活保護減額で「そんたく」 厚労省が「気が気でない」最高裁判決
生活保護受給者1000人超が全国で起こした裁判に「最後の審判」が下されようとしている。
2013~15年の生活保護費減額の違法性が争われた2件の訴訟で、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は27日に判決を言い渡す。
厚生労働省が当時、最大10%の大幅な減額に踏み切った背景には何があったのか。論点を整理すると「民意」と「そんたく」のキーワードが見え隠れする。
<主な内容> ・「ゆがみ」と「デフレ」 ・数値を恣意(しい)的操作の声
・「そんたく」と言われれば
10%減額は政権公約
08年のリーマン・ショックで失業者が急増したことで、生活保護受給世帯は11年度に約150万世帯と07年度から40万世帯近くも増加。生活保護費の増大を招き、不正受給にも厳しい視線が向けられるようになる。
11年度に発覚した不正受給件数は全体の2・4%、金額ベースでは全体の1%にも満たないが、人気芸能人が12年、親族の受給を巡り謝罪したこともバッシングに拍車をかけた。
世相を選挙公約に反映させたのが、当時野党の自民党だった。12年衆院選の公約の一つに給付水準の原則10%引き下げを掲げ、政権与党に返り咲いた。
厚労相となった田村憲久氏は就任直後の記者会見で「公約に書いてある部分もあるが、しっかりと現状把握しながら判断したい」と引き下げを進める考えを示した。
ひそかに実行された「調整」
翌13年度は5年に1度の生活保護基準の見直し時期だった。
厚労相の諮問機関である専門家部会は13年1月、総務省の全国消費実態調査(09年)に基づき生活保護費見直しの前提となる検証結果を出した。
報告書では、受給世帯の半数を占める「単身高齢者」の保護費は、比較対象となる一般低所得者の消費実態より4・5%低いとした。
一方で、全体で見ればごく僅かな「夫婦と子ども2人の世帯」は約14%高いとされた。
ところが、政府は生活保護費の中で食…