ウォール街のムードが大転換、期待からパニックへ-半導体株が標的に
ハイテク株が中心のナスダック100指数は、2023年3月から今年2月19日までに53回最高値を更新し、評価額は13兆ドル(1921兆円)増加していた。 投資家の投資意欲は底なしのようだった。
しかし、この熱狂は少なくとも当分の間は終わりを迎えたようだ。
ナスダック100指数は6日に2.8%急落し、2月19日の過去最高値から9.6%下落した。修正局面の目安である10%下落に迫る下げ幅だ。売りの中心は半導体関連株で、フィラデルフィア半導体指数は同日4.5%急落。昨年7月10日の最高値からは24%近く下げており既に弱気相場入りしている。
トレーダーはさらなる下落を予想しており、半導体指数がさらに10%下落した場合に備えるヘッジのコストは2年ぶりの高水準。上場投資信託(ETF)のバンエック半導体ETF(SMH)の空売り残高は今年最高水準に達している。
テーミス・トレーディングの株式トレーディング共同責任者、ジョゼフ・サルッツィ氏は「モメンタムトレードは完全に解消された。高騰していた銘柄が真っ先に打撃を受けている」と指摘。状況は変化する可能性があるが「不確実性が非常に高いため、大手テクノロジー企業の株を買うことに強い抵抗感があるのは道理だ」と話した。
トランプ米大統領の貿易戦争、インフレ持続、大量解雇によるリセッション(景気後退)、あるいはより深刻なスタグフレーションに対する過剰な不安がトレーダーたちに、何を買うかではなく何を売るかを考えさせている。
そのターゲットとなっているのが、ここ数年の間、最大の勝ち組だったテクノロジー株、特に半導体株だ。
ラウンドヒル・インベストメンツのデーブ・マッツァ最高経営責任者(CEO)は「関税やインフレのニュースが注目される市場で、投資家はこれらの株式の成長見通しを見直している」と述べ「好調な時代は急停止したということだ」と付け加えた。
今回の下落は必ずしもさらなる痛みを直ちに意味するわけではないが、米株市場のセンチメントの悪化は、昨年11月のトランプ氏当選後のムードが一変したことを意味する。投票日からの1カ月にS&P500種株価指数は5%以上上昇したが、今やその上げは帳消しになった。
ウェルス・アライアンスの社長兼マネジングディレクター、エリック・ディトン氏は「変動が激しくなるので、しっかりつかまっている必要がある」と述べた。
原題:Wall Street Goes From Hope to Panic as Nasdaq Nears a Correction(抜粋)