米参戦時に最新モデル投入 全英制覇まで試行錯誤した山下美夢有のギアと練習量

◇女子メジャー最終戦◇AIG女子オープン(全英女子) 最終日(3日)◇ロイヤルポースコール(ウェールズ)◇6580yd(パー72)

山下美夢有が米女子ツアー初優勝をメジャータイトルで飾った。単独首位から出た最終日に3バーディ、1ボギーの「70」で回り、通算11アンダーで逃げ切った。日本勢では2019年の渋野日向子以来となる大会制覇。22年から国内ツアーで2季連続の年間女王に輝いた24歳がウェールズの地で信頼のクラブとともに輝いた。

身長150㎝。小さな巨人が扱うクラブは、エンジョイゴルファーでも十分に振り切れるスペックだ。1Wのシャフトの重さは40g台で硬さはSR。アイアンとウェッジもRだ。渡米後に調整を重ねてきた住友ゴム工業(ダンロップ)の担当者、山脇翔平氏は「一般のゴルファーでも使えるようなクセのないクラブ。米ツアーの選手の中では特徴的です」と話す。

振り返れば、米国での試行錯誤はルーキーイヤーを迎える直前に始まった。昨年12月の最終予選会の会場で1Wをスリクソン「ZX5 Mk II」から、最新モデルの「ZXi」にスイッチ。米ツアーのパワーヒッターを相手に自身の飛距離不足と向き合い、持ち球のドローボールに磨きをかけるべく、新シーズンに入ってからはロフト角の変更や鉛で重心位置を調整してきた。現在、ソールのウエートはトウ側2gに対し、ヒール側には7gを配置。リンクス対策として、英国ではネックの弾道調節機能でロフトをわずかに立たせたのもハマった。

アイアンも今季開幕前に日本で握っていた「ZX5 Mk II」から、「ZXi7」(7番~PW)に変更。シリーズをアップデートしただけでなく、前作と比較してソール幅が薄いモデルに替えたのは米国の硬い地面でのプレーに対応するため。ウェッジも最新モデル「RTZ」の音と打感に惚れ込んでシーズンインと同時に替え、6月上旬の「ショップライトLPGAクラシック」ではツアーサテンモデルから、見た目と打感がさらに向上したノンメッキにチェンジした。

かつて自らもツアープロを志したレップの山脇氏は山下の練習量に目を見張る。数時間にわたって練習場で打ち込むのは日常茶飯事。前週の「スコットランド女子オープン」開幕前のある日は、プロアマ戦の待機選手として午前7時過ぎにコース入り。欠場者が出た場合に備えて規定の約2時間を会場で過ごし、結局出番は回ってこなかったが、ゴルフ場を去ったのは夕方だったという。立場がメジャーチャンピオンになったこれからも、その姿勢はきっと変わらない。

<最終日のクラブセッティング> ドライバー:スリクソン ZXi (9度) シャフト:藤倉コンポジット スピーダー NX グリーン(重さ40g台、硬さSR) グリップ:イオミック

フェアウェイウッド:スリクソン ZX Mk II (3番15度、5番18度) シャフト:藤倉コンポジット スピーダー NX グリーン(50g台、SR)

ユーティリティ:スリクソン ZX Mk II (4番22度、5番25度) シャフト:藤倉コンポジット VENTUS HB BLUE(70g台、S)

アイアン:スリクソン ZXi5(6番)、ZXi7 (7番~PW) シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド(80g台、R300)

ウェッジ:クリーブランド RTZ (48、52、58度) シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド(48度:80g台、R300/58度:90g台、R300)

パター:テーラーメイド スパイダー ツアーX

ボール:スリクソン Z-STAR XV

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