新たな試み…データサイエンスでも"目指せ世界一" 「人材発掘コンペ」開催の背景は
徹底した独自取材、データ分析選手の本音や核心に迫る「鷹フル」
ソフトバンクは、テクノロジーを活用したチーム強化に貢献できる人材の発掘を目的とした「HAWKSデータサイエンスコンペティション(採用選考)」を開催する。応募者には「今オフにホークスが獲得すべき外国人選手を提案せよ」とのテーマでレポートを作成してもらい、優れた提案には球団採用面接への道が開かれるというもの。プロ野球界では例を見ない取り組みで、「目指せ世界一」を標榜するソフトバンクがデータサイエンスの分野でも“世界一”を目指す。
今回の取り組みについてソフトバンクのデータサイエンスグループ、スカウティングサポート担当の齋藤周(さいとう・あまね)さんは「野球界ではアマチュアの全ての対象の中から、一番いい選手を取りにいきます。それと同じ動きがスタッフの世界で起きてもいいなと。それがまさに『世界一を目指す』ということにもつながると思いました」と説明する。
データサイエンスの業務は主に3本の柱があるという。「1つは試合に関する業務。こちらは昔からスコアラーが主に担ってきた分野ですね。2つ目は選手の育成。近年は長期的に選手を伸ばしていくためにデータを活用するという観点が生まれてきました。最後は選手の編成。これはかつて米メジャーのアスレチックスが掲げた『マネーボール』に重なる部分があります。この3つの分野をデータで支援するのが業務です」。
ソフトバンクにおけるデータサイエンスの大きな特徴は“チャレンジ精神”だ。「最先端の機械を導入するスピード感は特に強みだと思っています」と語る齋藤さん。現在一部の球団が取り入れている「トラジェクトアーク」もいち早く導入。若手の育成や選手の調整に大きな効果を発揮しており、現場でも高く評価する声が聞かれている。
一番必要な資質は「野球に頑張れるか」
今回のコンペティションでは「今オフにホークスが獲得すべき外国人選手を提案せよ」をテーマに設定した。ソフトバンクの現状の戦力を多角的に分析し、データに基づいてレポートを作成してもらう。提出期限は8月15日までで、データの収集方法や分析手法は応募者に任せる形だ。球団が求めるのはどのような人材像なのか。齋藤さんが強調するのは、“野球愛”の重要性だ。
「野球への深い知識を生かせるパターンもあれば、逆に知識がなくてもデータの活用やプログラム作成がすごく得意な人に野球の知識をインストールするのもありだと思っています。どちらにせよ、最後は野球としっかり向き合い頑張れるか。そこが一番必要な資質だと思っています」
球団がソフトバンクになった2005年以降、20年間で7度のリーグ優勝、同じく7度の日本一に輝いた。現状に満足せず、データサイエンスの世界でも世界一を目指す。
○齋藤周(さいとう・あまね) 2000年1月29日生まれの25歳。東京・桜修館高校、東大を経て2022年にソフトバンクに入社。東大野球部では学生スタッフ兼データアナリストとして活躍した。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)