防御率0.48でも届かなかった支配下 宮里優吾が新潟派遣…"男泣き"の夜に誓ったこと

“男泣き”で互いの成長を誓い合った。育成の宮里優吾投手がオイシックス新潟アルビレックスBCに派遣されることが4日、発表された。今シーズンが終了まで新潟でプレーし、みやざきフェニックス・リーグが開催される頃に、チームに合流する予定だ。シーズン中での派遣は球団としても初めての試みであり、オフのウインターリーグへの派遣とは意味合いが異なる。

 宮里は今季、2軍で17試合に登板して自責点はわずか「1」。防御率0.48の成績を残していた。しかし、7月末の支配下選手登録期限までに吉報は届かなかった。チームは残り1枠を埋めることなく、69人で残りのシーズンを戦うことを決めた。

 そんな中で突然の新潟派遣。「寂しいですけど、頑張ります」。育成2年目の右腕の心中はどのようなものなのか。派遣を告げられた時の素直な心境と、仲間たちと流した涙について、本人が赤裸々に明かした。

「正直、支配下を狙って今年に懸けていたので……。支配下になれなかったショックというか。そっちの方が大きかったです」

 派遣が告げられたのは7月25日、1軍のライブBPに登板した直後だった。その通達は、今季中の支配下登録がないことを意味した。残された期間で2桁の背番号を手にするために、懸命に腕を振ってきた。それだけに、当初はその現実を受け入れることができなかった。奇しくもこの日は、東農大時代からの先輩でもある宮崎颯投手が支配下登録された日でもあった。

 しかし、右腕はすぐに気持ちを切り替えた。7月29日から行われた1軍本拠地でのくふうハヤテとの3連戦では2試合に登板。「もう今年ラストだから楽しもうと。割り切って投げました」と語るように、いずれの試合も無失点に抑える好投を見せた。今季ホークスでの“ラスト登板”で、きっちりとスコアボードに「0」を刻んだ背景には、チームメートからの「楽しめ」という励ましの言葉もあった。

涙の送別会…背負う思い「球団からも相当期待していると」

 切磋琢磨してきた仲間たちとの送別会も開かれた。笹川吉康外野手、岩井俊介投手と囲んだテーブル。「僕らみんなで男泣きしました」。寂しさをこらえることは簡単ではなかった。多くの感情が入り混じる中、互いの今後の健闘を誓い合った。

「球団からも『相当期待している』と言われました。オフシーズン中に支配下に上がれるようにやってきます」

 この派遣は、宮里のポテンシャルを球団が高く評価しているからに他ならない。球団初となる、シーズン中の派遣は栄誉なことだと捉えるべきだろう。

「寂しいですけど、やるしかないので。怪我だけはしないように頑張ります」。仲間と流した涙を胸に、必ず成長して帰ってくる。「土産話も持って帰ってきますよ!」と語った23歳の声はいつもと変わらず明るかった。

(飯田航平 / Kohei Iida)

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