ソフトバンクG、7-9月純利益は2兆5000億円-エヌビディア株売却
ソフトバンクグループの2025年7-9月期(第2四半期)連結決算では、人工知能(AI)分野への投資効果が現れ、純利益は2兆5022億円となり、3四半期連続の黒字を確保した。前年同期と比べて大幅増益となった。一方で、保有していたすべての米エヌビディア株を10月に58.3億ドル(約8990億円)で売却したことも明らかにした。
利益のけん引役はビジョン・ファンド(SVF)だ。米OpenAIなど投資先の未公開株の評価益が膨らみ、同四半期のセグメント利益は2兆3769億円と、前年同期(3731億円)を大きく上回った。
後藤芳光最高財務責任者(CFO)は11日の決算説明会で、OpenAIを含めレイトステージの未公開株の公正価値は合計で560億ドルとなり、6月末時点から110億ドル増加したと述べた。
ソフトバンクGが重視する指標の時価純資産(NAV)は、11月10日の時点で36.2兆円と過去最高になったという。
4月に発表していたOpenAIへの追加出資については、特定の条件の充足の有無にかかわらず出資できるよう、同社と10月に修正契約を結んだと明らかにした。SVF2を通じて12月に全額の225億ドルを出資する。
後藤CFOによれば、追加出資後、マイクロソフトが約27%保有し、ソフトバンクGはビジョンファンド2を通じて約11%保有することになる。
AIブームの追い風を受け、ソフトバンクGの株価は年初来で2.5倍に上昇し、時価総額は30兆円を突破。9月下旬には三菱UFJフィナンシャル・グループを抜いて国内2位に浮上した。10月下旬には、4年ぶりに首位のトヨタ自動車との差を約10兆円まで縮めた。ただ足元でAI関連株に頭打ち感が見られる中、収益の先行きには不透明感も漂う。
巨額投資と財務負担増のバランスが今後焦点になる。ソフトバンクGは、AIプロジェクト「スターゲート構想」では今後4年間で他社と連携し最大5000億ドルを投じる計画だ。こうした投資に向けて、海外債券市場での資金調達を積極的に進めており、10月にはドル建てとユーロ建てで、総額4300億円超の劣後債を起債した。
ブルームバーグのデータによると、ソフトバンクGによる今年の国内社債発行額は8200億円に達し、日本企業では最大規模となっている。
後藤氏はエヌビディア株売却の理由について具体的なコメントは避けたものの、OpenAIへの投資は大きく、既存アセットの一部を対象に売却して資金調達に活用する考えを示した。一方、PayPayの米国での上場に関し、詳細には言及を避けながらも「差し迫ったレベル」と述べ、新規株式公開(IPO)が近いとの認識を示した。
またソフトバンクGは、2025年12月31日を基準日として、1株につき4株の割合で分割すると発表した。投資単位当たりの金額が200万円を上回っており、より投資しやすい環境を整え、投資家層をさらに拡大するためだと説明している。
(更新前の記事で、リードの通貨の単位表記を円からドルに訂正しました)
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