Proシリーズを選んできた僕が感じた、iPhone 16eのリアル
使ってみて実感できました。
廉価…と言ってもそこそこなお値段がするiPhone 16e。iPhone SEシリーズの後継機を期待していた人にとっては、ちょっと悩まし価格な端末なのかもしれません。
一方僕は…というと、結構ポジティブにとらえていたんですよね。日常使いのiPhone、これで十分じゃね?と。
スペックから読み取る中で、僕の生活の中で気になる点としては、ワイヤレス充電の遅さと、カメラ機能が1眼でベーシックなところくらい(120hz画面や常時点灯、Dynamic Islandは個人的にはあまり心に刺さっていません。重いゲームもやらないし)。
端末の軽さやバッテリー持ちが良くなっている点など、フットワークの良さにつながるメリットもあって、「今使っているiPhone 15 Proがぶっ壊れたら、iPhone 16 Proじゃなくて安いiPhone 16eでいいじゃん」とか思ってたんです。
なので今回編集部のiPhone 16eを借りて、スペック(頭)ではわかっていたところを、実際に試す中でリアルな感触を確かめてみました。
バッテリーめちゃくちゃ優秀。ワイヤレス充電は実用的だけど…
Photo: 小暮ひさのりまず良かったところから言います。
最初に感じた大きなメリットがバッテリー持ち。これは本当に素晴らしい。
iPhone 15 Pro自体バッテリー持ちが微妙でして、外出時はモバイルバッテリーが手放せなかったのですが、iPhone 16eに変えてからは同じ使い方をしていても、帰宅まで十分にバッテリーが持ちます。
これまで出かける前は100%にしておかなきゃ!な使命感…。いや、実用を考えるとそうせざるを得ない状況だったのが、iPhone 16eにしてからは60%後半あれば、まぁいいかで出かけられるレベル。
体感としてはPro Maxシリーズを使っていた頃と同じくらいか、それ以上バッテリー持つ印象ですねー。バッテリー持ちの良いiPhoneが良いというなら、確実に選択肢に入ってきます。
Photo: 小暮ひさのり不安だったMagSafe非対応というところも、MagSafeリング付属のケースを選べばそれで解決できます。ワイヤレス充電器に置いて(くっつけて)充電、問題なく使えます。実用的で良き。
ただ、ワイヤレスでの充電速度…やっぱ遅いですね…。ここは明確なストレスです。
iPhone 16eでのワイヤレス充電は最大7.5Wまで。最新のQi2規格の半分。一部機種で対応している純正のMagSafe充電器を利用した最大25W高速ワイヤレス充電の約3分の1です。
そもそもバッテリーサイズの大きなiPhone 16eの場合、ワイヤレス充電だとなっかなか回復しなくてですね…。バッテリー持ち良いからフル充電されている必要性は薄いのですが、それでもこの鈍行充電はヤキモキしちゃう。
Photo: 小暮ひさのりまぁ、日中はデスクのワイヤレス充電器に置きっぱなし勢とか、寝る時ワイヤレス充電器に置いているよ勢は気にならないポイントですし、USB-Cの有線なら高速充電できます。
なので、気にならない人も多いかもしれませんけどね。僕はもうケーブルをつなぐという行為を結構なストレスと感じているので、ぐぬぬ…状態。
筆記では50点満点取ったのに、実技で25点しか取れていなくて合計75点、及第点だけどなんだか消化不良でフィニッシュしたような気分です。
でもさ、これがもし「ワイヤレス充電対応していません!」だったら実技0点だからね。使い勝手最高じゃないにせよ、サポートしているのはありがたいなって思うんだ。
カメラ性能、足りない。撮りたい画が残せないジレンマ
Photo: 小暮ひさのりカメラは…ダメでした。残念、物足りない。
使うまでは「記録係として十分撮れるでしょ!」くらいに思っていて、スペックから見た印象では、そこまで1眼はデメリットにならないかなって。
広角のみの1眼構成、超広角も望遠もないスッパリとした割り切り感。
でも、実際に使っていくうちに「なんでちょっと無理してこのカメラ使ってるんだろう…」という思いが強くなってきちゃった。
望遠のフォローとしては、2倍のクロップズームとデジタルズームが利用できるんですが、しっかり見られる大きさまでズームした時のクオリティは今2歩くらい足りない感触。
そしてクリティカルさを感じたのが、「やっぱ超広角は必要だったわ」という点。
普段あまり意識はしていなかったのですが、僕は広く世界を切り取った記録が好きだったと気づきました。
Photo: 小暮ひさのりiPhone 16eで撮影。満開の桜、足元の緑、空の青とのコントラストを映したいと思ったシーンです。
Photo: 小暮ひさのりiPhone 15 Proの超広角で撮影すると、この場所は自分の頭上まで満開の桜花で覆われていたことを伝えられます。
どちらの構図が好きか?は人それぞれだと思いますが、よりダイナミックさと情報量を残せているのは超広角の方ではないでしょうか。
Photo: 小暮ひさのりこちらは川べりに満開になっていた菜の花。iPhone 16eで撮影。
これも超広角で撮りたかったのですが、iPhone 16eにはその機能はないので…
Photo: 小暮ひさのりパノラマ撮影を駆使して撮影。
こうしてちょっと工夫すれば、ダイナミックに撮れるけど、そのひと手間が面倒だったり、なんかコレジャナイ感があるんですよね。
Photo: 小暮ひさのりこちらは家族旅行で訪れたホテル。
かなり広めの部屋でテンションがブチ上がったのですが、せっかくの広さも1枚のカットだけではうまく伝わりません。惜しい。本当に惜しい。
つまり「こう撮りたい」という欲求が微妙に満たせなくて辛いんです。
これはスペックを見て頭ではわかっていたことですが、実際「自分ごと」の体験として味わうと、両手がもがれたくらい、撮影の楽しみが減っていました。データで知っているのと、実体験として付き合うのとでは、やはり全然印象が違いますね。ワクワクして買ったのだとしたら、失敗したと感じると思います。
じゃあこのiPhone 16eのカメラは、全てのユーザーにオススメできないのか? というと、そうではないのです。あくまでも僕の使い方には足りなかった。というだけです。
勇気ある削ぎ落とし。そこが気にならない人も居るはず
Photo: 小暮ひさのりこうして頭で思っていた印象と、使ってみての印象がだいぶ変わったiPhone 16e。
「16」というナンバリングのひとつでありながら、これまでのiPhoneの進化の中で、カメラ性能や、独自のメリットとして打ち出したMagSafeといった生活を一歩豊かにする機能が削ぎ落とされていて、かなり挑戦的な端末であることを実感できました。
僕も、ぜんぜんかまわないさ! と思ってお付き合いしてみたら、思ってたより自分にとってストレス。無理してお付き合いすることになってしまって、もうしわけないな…という気持ちでいっぱいです。
でも、逆に言えば僕が不便を感じたのはその2点のみなんですよ。
そこに重きを置かない用途。バッテリー持ち、機能性を重視して長く使えるiPhoneが欲しい(iOSじゃないと嫌だ)というニーズにはマッチしていますね。
そのうえで、新たな付加価値であり、今後のスマホのスタンダードとなってくるであろうAI機能(Apple Intelligence)がサポートされている、未来を見越した実用ツールとしてのiPhone。ストイックな使い方を求める人にはハマるポテンシャルがあると思います。
これらが僕が感じた、iPhone 16eのリアルでした。
正直9万9800円が適正か? と言われると、価格としてはもうちょっと頑張ってほしかったところもあります。そこは円相場の関係もあるからね。しょうがないよね…(iPhone SE3が出た当時の1ドル120円代なら8万切ってたと思うので)。
あと、キャリアだと機種代金は激安で2年間のお付き合い(ソフトバンクの場合機種代金24円、条件は色々ありますけどね)もできるので、この端末そういった付き合い方がジャスティスなのかもしれません。
Source: Apple