中国の渡航自粛、影響は限定的 日本人客が来店しやすく
だが、東京都内で事業を営む人々は概してこうした懸念を軽視している。
浅草のジュエリーショップの店長は、中国人観光客が減った分、日本人客が来店しやすくなったので、売り上げはそれほど落ちていないと語った。
この店はこれまで、客の半分を中国人が占めていたという。
日本の多くの観光・小売業は、他の外国人よりも訪日旅行消費額の大きい中国人観光客に大きく依存している。
一部のホテル、デザイナーズブランドを扱う店舗、さらにはドラッグストアには中国語を話せる店員がおり、百貨店では中国語の看板もよく見かける。
だが、銀座のうどん店の店長も、中国政府の渡航自粛呼び掛けから数日が経過したが、売り上げへの直接的な影響は感じていないと語った。
もちろん客が減れば店としては残念だが、常連の日本人客がいるので、それほど心配していないという。
日本の統計によると、訪日外国人観光客では、中国人が最も多く、2025年1~9月で約750万人に上った。外国人観光客全体の4分の1に相当するという。
円安に後押しされ、2025年7~9月期の中国人によるインバウンド消費額は約5900億円に上った。
日本政府観光局(JNTO)によると、2024年の中国人観光客のインバウンド消費額は、他の外国人観光客と比べて平均で22%多かった。
だが、昨年は世界中から3680万人という記録的な数の観光客が日本を訪れたことで、多くの日本人の日常生活に影響を与えるオーバーツーリズムへの懸念も高まっている。
高市氏は7日の衆院予算委員会で、台湾有事をめぐって日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に該当する具体例を問われ、「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になりうるケースだと私は考える」と答弁した。
Page 2
これに対し中国政府が自国民に対し日本への渡航自粛を呼び掛けたことで、小売業と観光業の株は急落。ほとんどの株価はいまだ回復していない。
これに対し、タカ派の小野田紀美経済安全保障担当相は、「何か気に入らないことがあったらすぐに経済的威圧をしてくるところに対して、依存しすぎる」ことのリスクについて警告。
「サプライチェーン(供給網)リスクだけでなく、さまざまな、観光に対してもリスクではある」と述べた。
中国・上海の旅行代理店の店長は、「最も大きな影響を受けているのは団体旅行」で、客の90%が日本への旅行プランの払い戻しを要求していると述べた。
だが、JNTOによると、昨年、日本を訪れた中国人観光客のうち、団体ツアーで訪れたのはわずか12%程度で、2015年の約43%から減少している。
金子恭之国土交通相は、中国以外の国からの観光客の増加を指摘し、この問題は「一喜一憂して、大変だ大変だと大あわてすることではない」と述べた。
だが、中国人観光客への依存度が高い日本のホテルは、渡航自粛の影響を感じている。
中部地方にある客の50~60%が中国人だというホテルの経営者は、中国の旅行代理店からのキャンセルが相次いでいると語った。
事態が早く落ち着くことを願っているが、時間がかかりそうだと不安をのぞかせた。
中国政府は高市氏への激しい怒りをあらわにし、日本大使を呼び出して抗議した他、中国国営メディアによると、少なくとも2本の日本映画の公開を延期した。
だが、先述の旅行代理店の店長は、今回の騒動で中国人が日本旅行の夢をあきらめることはないと語った。
「日本はサービスの質が高く、値段も手ごろだと考えている」「中国人は今後も日本を訪れたいと思い続けるだろう」と付け加えた。【翻訳編集】 AFPBB News