防衛装備庁が低コスト小型魚雷の情報提供企業を募集、安価な短魚雷?

防衛装備庁は8月27日から9月8日までに「潜水艦用次期魚雷、低コスト小型魚雷、垂直発射魚雷投射ロケット(能力向上型)に関する情報提供企業の募集」を公開し、この中には「低コスト小型魚雷」という見慣れない装備の名称があり、アンドゥリルが開発したコッパーヘッドのようなものを想定しているのかもしれない。

参考:潜水艦用次期魚雷に関する情報提供企業の募集 参考:低コスト小型魚雷に関する情報提供企業の募集 参考:垂直発射魚雷投射ロケット(能力向上型)に関する情報提供企業の募集 参考:防衛力の変革に向けた予算-令和9年度概算要求の概要- 参考:なり手がいない!無人の「潜水艦」日本も導入へ? 攻撃も可能な“特大サイズ無人機”世界で開発競争

防衛装備庁は8月27日から9月8日までに「潜水艦用次期魚雷に関する情報提供企業の募集」「低コスト小型魚雷に関する情報提供企業の募集」「垂直発射魚雷投射ロケット(能力向上型)に関する情報提供企業の募集」を公開し、各募集要項は情報提供を求めるシステムを何も定義しておらず、潜水艦用次期魚雷は18式魚雷の後継、垂直発射魚雷投射ロケット(能力向上型)は07式垂直発射魚雷投射ロケットの改良だと思われるものの、低コスト小型魚雷が対潜戦向け12式魚雷の後継なのかどうかは不明だ。

出典:防衛装備庁

潜水艦用次期魚雷、低コスト小型魚雷、垂直発射魚雷投射ロケット(能力向上型)の並びは順当に18式、12式、07式と解釈することもできるが、それなら「対潜水艦攻撃用短魚雷の後継」と書くのが自然なので、もし小型魚雷が12式魚雷のことを指しているなら「安価な短魚雷」となり、防衛省が検討している「高価で高性能な弾薬を補完する低コストなスタンド・オフ・ミサイルの海外製取得」についても「防衛省担当者は具体例として米アンドゥリルのバラクーダを挙げた」と報じられているため、同じアンドゥリルが開発したCopperhead(コッパーヘッド)のような安価な短魚雷を国産化したいと考えているのかもしれない。

コッパーヘッドには12式魚雷(324mm径)相当=12.75インチ径の100/100M、18式魚雷(533mm径)相当=21インチ径の500/500Mがあり、商用利用も可能な「無印」は弾頭ではなく用途に応じて変更可能なセンサーを搭載するバージョンで、防衛向けの「M」は弾頭を搭載するバージョンで100Mは短魚雷、500Mは重魚雷に相当する。

コッパーヘッドが従来の魚雷と大きく異なる点はハイパースケールでの生産を考慮し「複雑な設計、防衛産業に特化したサプライチェーン、高度な専門労働者、手作業による製造手法で構築された拡張性の乏しい精巧なシステム」ではなく「シンプルな設計、調達先が複数存在する商用サプライチェーン、増員が容易な平均的労働者、特殊工具や専用設計の治具を必要としないハイパースケールを前提にした製造手法で構築された拡張性の高い汎用システム」という点で、コッパーヘッドのデザインも一般的な魚雷=円筒形ではなく製造しやすいダイヤモンド型を採用している。

出典:Anduril

正確な数字は不明なものの「コッパーヘッド100MはMk.54軽量魚雷よりも相当軽量だ」という予想もあり、アンドゥリルの超大型無人潜水艦=Dive-XLはコッパーヘッド100Mなら数十発、コッパーヘッド500Mでも複数発を搭載でき、防衛省も令和9年度概算要求の中で「UUV用水中戦モジュール群の研究=UUVに水中及び水上の目標に対する水中戦能力を付与するため、捜索、攻撃、水中ネットワーク等の機能を付与する各種UUV用モジュールの試作」を事項要求している。

軍事ジャーナリストの竹内修氏は記事の中で「UUV水中戦用モジュールは魚雷やミサイル発射装置などの攻撃能力を任務に合わせたモジュールの交換によって実現するものだ。さらに給電装置の研究費も要求しているため、これは他国でXLUUV=超大型無人潜水艦に分類されるものになるのかもしれない」と指摘しているため、低コスト小型魚雷はここに結びつくかもしれない。

出典:Northrop Grumman

もう一つの可能性は米海軍が開発を進めている6.75インチ径の小型魚雷=Mk.58 Compact Rapid Attack Weapon(CRAW)のようなものを想定している場合で、Mk.58 CRAWの重量はMk.54の約1/3しかなく潜水艦のExternal Countermeasure Launcher(ECL)からも発射可能で、マルチパックを使用すれば21インチ魚雷発射管にMk.58 CRAWを複数セットすることもでき、SH-60ならMk.54を2発搭載する代わりにMk.58 CRAWを4発以上も搭載できるが、まだテスト段階で実用化や量産化は2030年頃になる見込みだ。

海上自衛隊にMk.58 CRAWのような小型魚雷を戦力化する構想があるのは分からないため何とも言えないが、個人的には「超大型無人潜水艦での使用も視野に入れた安価な短魚雷」を低コスト小型魚雷と呼んでいるのではないかと予想している。

関連記事:新しい挑戦者が登場、2028年から低コスト巡航ミサイルを年1.2万発生産 関連記事:日本も量という質を追求、防衛省が低コスト巡航ミサイル取得を表明 関連記事:日本も量という質を追求か、防衛装備庁が低コスト誘導弾の情報提供を要請 関連記事:伝統的な防衛企業と防衛スタートアップの違い、リスクを冒して全部作る 関連記事:米ミサイル防衛局、75万ドル以下の低コスト迎撃ミサイルを開発中 関連記事:欧州がSM-3相当の迎撃ミサイル開発計画を発表、元ロシア人が計画を主導 関連記事:米軍、1万発以上の低コスト巡航ミサイルを新興企業4社から3年で調達 関連記事:ナプキンの落書きから生産体制確立まで9ヶ月間、激安の肩撃ち式ミサイルが登場 関連記事:KratosがXQ-58Aに搭載可能な低コスト巡航ミサイルを発表、1発15万ドル 関連記事:有望な低コスト巡航ミサイル市場、Lockheed MartinもJASSMのダウングレードに言及 関連記事:MBDA、低コスト巡航ミサイルや戦車砲発射型ミサイルをDSEIで披露 関連記事:Anduril、超大規模生産と大量使用を前提にした巡航ミサイルを発表

※アイキャッチ画像の出典:Anduril

関連記事: