特殊詐欺の「出し子」で最高日給75万円…元闇バイト男性が明かした一日2500万円を運ぶ仕事の実態
「最高″日給″は75万円でした」
特殊詐欺で騙された被害者が振り込んだカネなど、犯罪組織の収益をATMで引き出す″バイト″、「出し子」に長年従事していたという桐山雄介氏(43・仮名)はそう言うと、遠い目をした。
高校卒業後、会社員として働いていたが月給は30万円程度。「遊べるカネが全然なく、出世の見込みもない」と絶望した桐山氏が、情報商材の販売など副業で小遣い稼ぎをしているなかで見つけたのが出し子の募集だった。「闇バイト」という言葉が浸透する前、’16年ごろのことである。
「喫茶店で面接があったんですが、聞かれたのは『銀行口座、いくつある?』だけ。『君の口座に振り込まれたおカネを下ろして届けるだけのお仕事です。下ろしたカネの3%を君に渡すよ』と言うのみで、一回につきいくら下ろす、なんて説明もありませんでした。
僕が″上の人″と呼んでいた指示役とのやり取りはテレグラムのみ。僕は身分証のコピーを取られましたが、″上の人″も僕を面接したコワモテの中年男も苗字しか教えてくれません。
『万が一、カネを持ち逃げするようなことがあれば、どこまでも追いかけるから』とスゴまれ、背筋が凍ったのをいまでもハッキリ覚えています」
連絡手段が履歴の残らないテレグラムだけという時点で「真っ当な仕事ではないな」と予測がついたが、ラクに稼ぎたいという欲が勝った。
「まずは作れるだけキャッシュカードとネットバンクの口座を作りました。自分用のメイン口座を一つだけ残して、それ以外の口座を″上の人″に伝えたら、すぐに『入金したよ』と連絡が入った。
銀行によって一日に下ろせる限度額が違うので、入金されたカネは何行かに振り分けて、少しずつ下ろします。たとえばセブン銀行は一度に200万円ぐらい下ろせるんだけど、僕みたいなやつが一気に大金を下ろしたら、怪しいでしょ?」
現金を引き出し終えると紙袋に入れて指定の場所に持っていく。渡す場所も受け取る人間も毎回、違った。
「駅前だったり、路上だったり……カフェで待ち合わせて渡すなんてことは、一回もなかったですね。到着前にテレグラムでお互いの服装を教え合うだけ。受取人は3人いて、ローテーションを組んでいました。名前なんて知りません」
一日に引き出した最高額は2500万円。受け渡し時に総額の3%の75万円が手渡された。
取材・文:山田 潤