性的暴力を戦争手段にするロシア

<Alistair MacDonald, Serhii Bosak and Ievgeniia Sivorka/2026年7月29日>

 【ハルキウ(ウクライナ)】セルヒー・ボイチュク氏は2022年に前線へ出発する前、戦場で生きたまま捕まりたくないと妻に話していた。その数カ月後、同氏はロシア軍の捕虜となった。同氏によれば、看守らは2年以上にわたり、同氏を殴打し性的拷問を加え続けた。

 ボイチュク氏はボトルや棒で強姦(ごうかん)され、性器にナイフを押し付けられたことを振り返った。同氏は今でも歩行が困難だ。「彼らは私を精神的に打ちのめそうとしていた」と、現在33歳になるボイチュク氏は語った。

 他の元ウクライナ人捕虜たちも、ロシアの戦争捕虜収容所で同様の性的拷問を経験したと証言している。その証言は、4年以上にわたる戦争を通じて、兵士の元捕虜および民間人抑留者への広範な聞き取りを行ってきたウクライナの検察当局、情報機関、および国連調査団の調査結果と一致している。

 蓄積されたこうした証言は、戦争捕虜(POW)と民間人抑留者に対するロシア側の性的暴力が組織的であり、ロシア高官らによって容認、さらには推奨されていたことを示唆している。

男性という標的

 戦争における性的暴力は、民間人を服従させ恐れさせるために長年使われてきた。多くの紛争で最も一般的な標的は女性の民間人だ。

 国連およびウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が行った聞き取りによると、ロシアが2022年に開始した大規模侵攻の初期、ロシア軍が街や村を制圧した際、ウクライナ人女性に対して多数の性的暴行が加えられた。

 しかし、戦争が緩慢な消耗戦へと移行して以来、報告されている被害者の多くは戦場で捕らえられたウクライナ人の男性兵士だ。

 国連はこれまでに、ロシア軍が戦時中に行ったとされる性的暴力について約310件の証言を収集したとしてい…

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