VOA解体に向けた米大統領令、中国やカンボジアから称賛の声
ボイス・オブ・アメリカ(VOA)やラジオ・フリー・アジア(RFA)を傘下に持つ米政府機関の事実上の閉鎖に向けたトランプ大統領の措置に対し、中国とカンボジアから称賛の声が上がっている。これら国々は米メディアを長年批判してきた。
トランプ氏は14日、米国グローバルメディア局(USAGM)を含む8つの政府機関の機能を大幅に縮小する大統領令に署名。USAGMはVOAやRFAのほかにラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティー(RFE/RL)などの報道機関も傘下に抱える。
カンボジアのフン・セン前首相は、USAGM解体でフェイクニュースと戦っているとトランプ大統領を称賛。2023年まで約40年にわたり首相を務めた同氏は17日、「これはフェイクニュースの排除に向けた大きな貢献だ」とフェイスブックに投稿した。
人民日報系の環球時報(グローバル・タイムズ)は17日の社説でVOAについて、対立や社会の分断をあおり、政権交代工作にさえ参加している「うその工場」と呼び、解体を歓迎。「VOAは明らかに、決して『公平かつ公正』なメディアではない」とし、「こうした機関が存続し続けることは、世界にさらなる混乱と問題をもたらすだけだ」と主張した。
トランプ政権下で設置された政府効率化省(DOGE)は、政府職員の大量解雇や、米国際開発局(USAID)や消費者金融保護局(CFPB)など政府機関の廃止を進めている。
VOAのマイケル・アブラモウィッツ局長は週末、1300人余りのジャーナリストやプロデューサー、同僚スタッフのほぼ全員が休職扱いとなったと発表。1942年の開局以来、約50言語で放送し、中国の新疆ウイグル自治区における強制労働から2019年の香港デモまで、さまざまな報道を行ってきた。そのため、中国国営メディアから「プロパガンダの毒薬」と見なされてきた。
ロシアの反応はより控えめだった。ロイター通信によると、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、これら米報道機関は「ロシアでは人気も需要もほとんどないため、われわれにはあまり関係がない」と記者団に語った。
一方で、チェコのリパフスキー外相は、プラハを拠点とするRFE/RLの活動は重要であり、少なくとも部分的にでも活動を継続させる方法をEU加盟国外相と話し合うと述べた。
RFE/RLのスティーブン・カパス最高経営責任者(CEO)は、政府系メディアへの補助金の打ち切りは「米国の敵への大きな贈り物」になると警告。「敵対者に勝利を渡すことは、彼らをより強くし、米国をより弱くするだろう」と指摘した。
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原題:Trump Closing Voice of America Draws Praise From China, Cambodia(抜粋)