世界が注目するエヌビディア[NVDA]の決算発表、AI需要は依然強く好調決算も中国リスクが株価を圧迫、今後の見通しは?
世界中の投資家が注目する米半導体大手エヌビディア[NVDA]が2026年度第2四半期(5~7月期)決算を発表しました。売上・EPSとも市場予想を上回り、今期(第3四半期)の売上見通しも市場予想を上回る内容となりました。
しかし、時間外取引では株価が下落しています。背景には、成長の柱であるデータセンター部門の売上が2期連続で市場予想に届かなかったこと、中国向けGPU販売の不透明感が挙げられます。
主な決算数値:四半期業績(市場予想との比較)
EPS(調整後):1.05ドル(予想 1.01ドル) 売上高:467.4億ドル(予想 460.6億ドル) 今期売上見通し:540億ドル ±2%(予想 531億ドル)
純利益:264.2億ドル(前年同期比 +59%)
売上は前年同期比+56%と高成長を維持し、9四半期連続で50%以上の成長を記録しました。ただし、この期間の中では最も低い成長率であり、市場の高い期待水準を満たせなかった側面があります。
データセンター部門の予想未達と中国リスクが株価を圧迫
データセンター事業
データセンター売上:411億ドル(前年同期比+56%、予想 413.4億ドル) GPU「コンピュート」:338億ドル(前期比▲1%、中国向けH20売上減が影響)
ネットワーキング:73億ドル(前年同期比ほぼ倍増)
中国市場とH20問題
米国の規制により、中国市場向けに設計されたGPU「H20」の販売は第2四半期もゼロに。もし販売されていれば、最大80億ドルの売上押し上げ要因になった可能性があると、同社は指摘しています。実際には、中国以外の顧客向けに1.8億ドルの在庫を販売しました。今期については、地政学的環境次第で20~50億ドルのH20売上が期待できるとしています。
その他の事業
ゲーム部門:43億ドル(前年同期比+49%) ロボティクス部門:5.9億ドル(前年同期比+69%)
ジェンスン・ファンCEOは中国を再び大きな成長源に位置づける姿勢
投資家は、過去のものである決算発表より、マネジメントによる今後についての見通しを注視します。今回の決算コールの質疑応答では、エヌビディアの長期的な成長戦略が鮮明に示されました。
まず、注目すべき点は中国市場です。H20製品について一部ライセンスをすでに獲得しており、地政学的な不透明感は残るものの、四半期あたり20~50億ドル規模の出荷が可能になると説明しました。フアンCEOは「さらにライセンスが認可されれば供給を拡大できる」と語り、中国を再び大きな成長源に位置づける姿勢を打ち出しました。さらに、中国のAI研究者層の厚さやオープンソース開発の豊かさを踏まえ、「米国企業が中国市場に関与することは世界標準を築くうえで欠かせない」と強調しています。
AIインフラ企業としての圧倒的なポジション、新しい「産業革命の青写真」も
次に、AIインフラ投資の将来像として「2030年までに3~4兆ドルに拡大する」との見通しを提示しました。アマゾン・ドットコム[AMZN]、マイクロソフト[MSFT]などのトップ4社のハイパースケーラーによる設備投資がわずか2年で倍増し、年間6,000億ドルに達した事実を踏まえると、この数字は決して非現実的ではありません。そのなかでエヌビディアは「GPUメーカーではなく、AIインフラ企業として市場全体の35%を担う存在であり続ける」と語り、圧倒的なポジションを示しました。
技術ロードマップについても明確に示されました。現行の「Blackwell」から次世代「Ruben」への年次更新サイクルを採用し、毎年の進化で顧客の収益性とエネルギー効率を高める戦略です。世界が待ち望んだ次世代AIプラットフォームであるBlackwellは、前世代Hopperに比べ推論性能が桁違いに高く、電力あたりの収益創出力を飛躍的に向上させるといいます。
さらにRubenはすでに台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)[TSM]でテープアウト(半導体チップの設計工程の最終段階で、設計データをすべて完成させて製造工場に送ること)済みで、6つの新チップから構成される第三世代のAIスーパーコンピュータとして2026年投入予定と明らかにしました。
需要見通しも力強い内容でした。AIネイティブ企業の資金調達は2024年の1,000億ドルから2025年は1,800億ドルに急増。売上も20億ドルから200億ドルへと10倍に拡大しており、「2026年さらに10倍になる可能性もある」とフアンCEOは指摘しました。加えて、オープンソースモデルの普及が大企業・SaaS・産業・ロボティクスへの導入を加速させており、裾野は広がる一方です。
そしてフアンCEOは最後にこう総括しました。「チャットボットは一問一答から推論型・エージェント型へ進化し、今やフィジカルAIが新しい産業と自動化を切り拓いている。すべての企業は、製品をつくる工場だけでなく、自社のロボティックAIをつくる工場も必要になる」
エヌビディアは、AIの進化を単なる技術革新にとどめず、「新しい産業革命」の中核を担う存在として位置づけを明確にしたポジティブなトーンの決算コールであったと言えます。
2つの懸念点がありつつも、今度の見通しには成長加速と潜在的なプラス要因も
今回の決算発表では、成長の柱であるデータセンター部門の売上が2期連続で市場予想に届かなかったこと、そして中国市場におけるGPU販売の不透明感が、市場参加者の懸念材料となりました。以下では、この2点についてまとめてみたいと思います。
現在エヌビディアの収益の約9割を占めるデータセンター事業は、AI成長のエンジンであるため、市場参加者はこの数字に極めて敏感です。今回の決算ではEPSや売上全体は予想を上回ったものの、データセンターが2四半期連続で予想を下回ったことで、短期的な需要見通しや中国向け販売(H20禁止)の不透明感が懸念されました。ただし経営陣は、長期的な構造的成長ドライバーを改めて強調しています。
ネットワーキングやシステム統合需要の拡大
つまり、短期的にはデータセンター売上が懸念材料ですが、長期的なAI需要のストーリーはむしろ強固だといえます。
また、投資家の一部は中国向け販売の早期再開を期待していましたが、今回の見通しには中国からの収益は含まれていませんでした。ただし、この点は中国市場に本格的に参入できた場合の上振れ余地を示していると言えます。つまり、決算発表後の株価反応とは裏腹に、エヌビディアの見通しには成長加速と潜在的なプラス要因が含まれているということです。
今回の発表を受けて投資家が取るべき行動とは
今回の決算は、売上・利益ともに市場予想を上回る「好決算」でした。しかし、成長の柱であるデータセンター部門が2期連続で市場予想に届かなかったこと、中国向けGPU販売の不透明感が重荷となり、投資家の利益確定売りを誘発。株価は時間外取引(日本時間午前8時)で約3%下落しました。
実際、エヌビディアの決算発表後の株価反応を振り返ると、過去7回のうち3回は翌日株価が下落しています。毎回予想を上回っても下落するのは、株価に織り込まれた期待値が極めて高いからです。今回も直近3ヶ月で株価が35%上昇しており、投資家は「完璧な決算」を求めていたのでしょう。
それでも、CEOジェンスン・フアン氏のコメントからは、AIインフラ投資はまだ始まったばかりであり、長期的な成長余地が非常に大きいことが改めて示されました。短期的な株価調整は避けられないにせよ、同社が「AIインフラ革命の中心企業」であるという地位は揺らぎません。つまり、エヌビディアの成長ストーリーが終わったわけではないのです。
さらに、今回新たに600億ドル規模の自社株買いが承認されており、会社自身による株価サポートも期待できます。こうした点を踏まえると、長期視点を持つ投資家にとっては、むしろ今回の株価下落は「押し目買いの好機」であると考えています。
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