ドイツ債下げ拡大、支出パッケージで主要政党合意-フランス債も下落

ドイツの主要政党が財政パッケージで合意したとの報道を受けて、ドイツ債は下げを拡大。フランス債も下落し、同国30年債利回りは2011年以来の高水準に達した。

  ドイツ10年債利回りは8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して2.94%、フランス30年債利回りは4bp上昇して14年ぶりの高水準の4.17%を付けた。

  フランスを巡っては、フィッチ・レーティングスが14日に格付けの見直しを発表する予定で、現在の「AA-」からシングルA格に引き下げられるとの懸念がある。フィッチは昨年10月、フランスの格付け見通しを「ネガティブ(弱含み)」としていた。

  フランスの格付けがシングルAとなれば史上初で、質の高い債券に注力するファンドからの売りを招く恐れがあると一部のアナリストは指摘している。

  フランスの格付けはS&Pグローバル・レーティングも「AA-」で、見通しは「ネガティブ」。ムーディーズもAA-に相当する「Aa3」だが、見通しは「安定的」としている。

  ニューバーガーのグローバル通貨責任者、ウーゴ・ランチオーニ氏はドイツの大型支出計画について、「これが成立するなら、債務増加に長年消極的だったドイツのイメージは変わる」と指摘。「財政支出は恐らく数年にわたるだろう。この措置に関連した成長押し上げの影響は、ドイツと欧州で2026年から感じられるようになる公算が大きい」と述べた。

Politicians in Berlin are thrashing out a historic debt package

Source: Bloomberg

  ランチオーニ氏は、欧州の利回りは魅力的だと指摘、徐々にエクスポージャーを増やすのがいいだろうと述べた。報道を受けてドイツ債利回りは跳ね上がったが、次期首相就任が有力なメルツ・キリスト教民主同盟 (CDU)党首が合意を確認すると上昇幅を縮小した。これは現水準の利回りでも、一定の買い手がいることを示唆している。

  ドイツ10年債利回りは今月に入り50bp余り上昇し、いまや3%に近づいている。3%を付ければほぼ1年半ぶり、3.03%を突破すればユーロ圏債務危機直後の2011年以来となる。2年債と10年債のスプレッドは70bpと、2022年半ば以降で最も広がった。

  ブルームバーグのマーケッツ・ライブ(MLIV)のマクロストラテジスト、サイモン・ホワイト氏は「巨額の債務パッケージがドイツで合意され、ドイツと他の欧州国債利回りは予想通り上昇した。ただ、ドイツ債のスワップスプレッドは年初から緩やかな縮小にとどまっており、ドイツの信用リスクに顕著な低下はないことが示唆される」と指摘した。

  一方、ジェフリーズのグローバル為替責任者、ブラッド・ベクテル氏は「再びユーロ相場が面白くなってきた」と述べ、ウクライナの和平交渉はユーロを勢いづかせているとの見方を示した。

原題:German Bond Selloff Reignites as Merz Strikes Debt Package DealFrance’s Bond Yield Rises to Highest Since 2011 Ahead of Fitch(抜粋)

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