ポストユースマッチで“見つかった”U-22日本代表SB関富貫太(桐蔭横浜大)…28年横浜FM内定の決断、海外組SB小杉から刺激、野心燃やすU-20W杯出場
“ロス五輪世代”から急成長の左サイドバックが現れた。大岩剛監督が率いる“ロス五輪世代”U-22日本代表はミャンマーで行われるAFC U23アジアカップ予選へ。DF関富貫太(桐蔭横浜大2年/28年横浜FM内定)は「今大会は個人としてもチームとしても大事な大会。とにかく結果を残したい」と気を吐いた。 これまで代表歴はなかったが、7月に発足した大岩監督体制のU-22日本代表に初招集。今回はその活動に続き、二度目の日の丸を着けることになった。7月のウズベキスタン遠征では、親善大会「Mirabror Usmanov Memorial Cup 2025」のU-22ウズベキスタン代表戦でフル出場。精度の高い左足でセットプレーのキッカーを務めたほか、積極性あふれる突破力、豊富な運動量で勝利に貢献した。
高校から異色の経歴を歩んだ。日体大柏高に進学するも、1年次の冬に同高とアカデミー育成の相互支援契約を結んだ柏レイソルU-18に転籍した。1年次はFW、2年次に右ウイングを務めると、10番を着けた3年次には柏U-18の藤田優人監督によってSBにコンバート。SB歴2年で世代別代表にたどり着いた。
「(コンバートの)理由は聞いていないんです。だけど、どこのポジションでも自分の特長を出せるようにとフォーカスしてやってきた。実際に色んなポジションでできたほうがどんな監督でも使いやすい。それこそ今回の大会でもメンバーに入りやすいと思う。なので、コンバートに関しては成功したのかなと。感謝しかないですね」 代表は「遠い存在」と感じていたが、「高校から大学にかけてだんだん自分の中でも手応えを感じ始めていた」。そんな関富に大きな注目が集まったのは、今年春から3度にわたって19歳~21歳までの「ポストユース年代」の育成・強化を目的に、日本サッカー協会(JFA)とJリーグが協働して行った「JFA/Jリーグポストユースマッチ」だ。関富は4月に関東大学選抜として、U-22 Jリーグ選抜と対戦。Jリーガーを相手に果敢なプレーを見せ続け、大岩監督や多くのスカウトの目に留まった。「あのあたりから一気に、いろいろ有難いことにここまで来れた。運がいいし、チャンスを掴めたと思っている」。U-22日本代表選出や、今月21日に発表された横浜F・マリノスへの2028シーズン加入内定にもつながった。
現在、関東大学1部リーグで全試合スタメンを続ける関富は、数クラブに練習参加もしていたが、2年次にして3年後の横浜FM入りを決断した。「4年生まで待って、もっと視野を広げる選択肢もあったけど……」と加入を決めた理由を明かす。 「自分は海外でプレーすることが夢なので、マリノスは外国人選手もたくさんいるなかで、そこに身を置ける環境に魅力を感じた。あと、今は大学生ながら特別指定で試合に出ている選手もいる。そこで自分もチャンスを掴みたいと思った。勝負をさせてほしいと。早いうちからプロの世界に揉まれて成長したいという思いがあった」今回、関富が参加するのはAFC公式大会だ。「前回の親善試合とは違った空気になる。相手も目の色を変えてやってくると思うので、自分たちも全員で合わせて、勝利に向けてやっていきたい」。さまざまなカテゴリーから構成されるU-22日本代表のなかで、海外組は4人選出された。そのうちの一人、左SB小杉啓太(ユールゴーデン)との出会いを、関富は「自分が目標にしているなかで、いろんな話を聞きたい。プレー面でいろいろ刺激を受けられれば」と楽しみにしている。
関富はもうひとつ、野心を語った。“ロス五輪世代”はミャンマーでのU23アジア杯予選を終えた2週間後、チリでU-20ワールドカップに参加する。タイトなスケジュールや、U-20W杯が国際Aマッチウィーク外で海外組招集も難航することから、チーム編成は直前まで読めない状況。そんな中、関富は「U-20W杯も狙っている」と力を込めた。 現状、U-20W杯での左SBには不安要素が残る。海外組の小杉が招集不透明で、これまで主力を務めてきた前大会経験者のDF高橋仁胡(C大阪)は7月から右第5中足骨骨折で離脱中。チーム内で本職といえるほど定着している選手がいないからこそ、「チャンスでしかない」と関富の眼光は鋭い。 「日本の左SBを代表できるくらい、今大会でも結果を残して、(U-20W杯に)選んでいただけるようにがんばりたい」。“旬”の左SBはアジアの舞台で実力を示し、世界の舞台にも立つつもりだ。 (取材・文 石川祐介)●AFC U23アジアカップ2026予選特集▶日本代表の最新情報はポッドキャストでも配信中