DeepSeekがうたう省エネ、電力株を直撃-一部は買いの好機と期待
中国の人工知能(AI)新興企業DeepSeek(ディープシーク)が引き起こした株価下落は、米エヌビディアといったテクノロジー企業だけにとどまらず、AI構築に重要なエネルギー企業にも及んだ。ただ、ウォール街の一部は、電力会社の株価急落を買いの好機と捉えている。
独立系電力事業者の米ビストラは27日に28%の下落率を記録。同社として上場来最大の下げ、S&P500種株価指数の構成銘柄の中でも最悪だった。コンステレーション・エナジーも21%安となった。
両社の株価は翌日には一部回復したものの、今週に入ってからの下げの大きさからウォール街のストラテジストの間では、このセクターの見通しについて意見が分かれている。
米ブティック型投資銀行エバコアのアナリスト、ドゥルゲシュ・チョプラ氏は、27日の下げは非常にきつく、「AIデータセンターによる電力消費増大の期待に裏付けられた株価上昇は事実上、帳消しになった」と、顧客向けリポートで述べた。
英バークレイズのアナリスト、ジュリアン・ミッチェル、ジャック・カウチ両氏は、27日のAI関連および電力設備関連銘柄の売りは、2001年のドット・コム・バブル崩壊時の通信関連株が受けた打撃や、原油が下落した08年と14年に油田設備株が売られた時をほうふつとさせると指摘。「シナリオに頼る問題は、それが変化し得るということだ。一部のバリュエーションが突如として、ファンダメンタルズとかけ離れたものに見えるようになる可能性がある」と両氏は見解を示した。
実際、27日の下落後でも株価収益率(PER)はビストラが46倍、コンステレーションが31倍で、S&P500公益事業株指数の構成銘柄の中で最も高い部類に入る。
一方で、この株価下落を買いのチャンスと見る向きもいる。ブリークリー・ファイナンシャル・グループのピーター・ブックバー最高投資責任者(CIO)は、電力はAI競争とは関係なく「今後も十分に必要とされる分野だ」と指摘し、「エネルギー株を所有していれば、どのモデルだとか、どのテクノロジー企業が勝利するかなどを気にする必要はない」と語る。
また、JPモルガンのアナリスト、ジェレミー・トネット氏は電力銘柄の押し目買いを奨励。同氏は「全体的に見て、現在の売りは行き過ぎだと考えている。特にAIの推論コスト低下は、生成AIの広範な導入を促すだろう」と述べ、ビストラの「現在の水準は魅力的なエントリーポイント」として、同社株に対する判断をオーバーウエートで据え置いた。
原題:DeepSeek’s Promise of Energy Efficiency Darkens Power Stocks(抜粋)