ゲーム開発者向け「DiscordソーシャルSDK」ついにボイチャ機能が正式リリース。ゲーム内にDiscord通話を統合可能、使い道ひろがる
Discord社は8月13日、「DiscordソーシャルSDK(Discord Social SDK)」のクローズドベータ機能の一部が正式リリースされ、商用利用可能となったことを発表した。「DiscordソーシャルSDK」は、Discordの音声・メッセージング機能をゲームに直接統合できるようになるソフトウェア開発キットだ。
Discordは、テキストチャット・音声通話・画面共有などが可能なアプリだ。ユーザーが好みのテーマのサーバーを立て、そこにほかのユーザーが集う仕組みが特徴。PCおよびスマートフォン向けのネイティブアプリのほか、ブラウザ版やコンソール向けの連携機能も用意されている。
そして「DiscordソーシャルSDK」はゲーム開発者向けのソフトウェア開発キット(Software Development Kit)だ。これによって開発者はDiscordと連携した音声・メッセージング機能をゲーム内に直接実装できる。インディー開発者から大手ゲームパブリッシャーまで、幅広い規模での利用が想定されており、初期パートナーとなった『Marvel Rivals』などの一部のタイトルでは、すでに「DiscordソーシャルSDK」を活用したゲーム内コミュニケーション機能が統合済みとのこと。
今年3月に発表された「DiscordソーシャルSDK」はこれまで、一部機能がクローズドベータ版向けに提供されてきた。そしてこのたび、それらの機能が正式リリースされ、商用利用が可能となった。クロスプラットフォームでのチャットや、Discordテキストチャンネルとゲーム内チャットチャンネルの統合機能、そして音声チャットなどが新たに一般開放されたかたちだ。
またアップデートを経て複数の新機能が追加。DMおよびアクティブロビーにおけるチャット履歴や音声のカスタムエフェクト処理が追加。さらにモバイルデバイスにおける音声体験の向上なども図られているといい、さらに快適なマルチプレイ体験を実現できるようになる。なおこれら新機能を利用するためには、基本的な要件を満たしたうえで、審査に通る必要があるとのこと。
「DiscordソーシャルSDK」はC++のほか、Unreal EngineやUnityといったゲームエンジンとの互換性がある。対応プラットフォームとしてはWindows 11/macOSに加えて、現時点ではLinux/PS4/Xbox Oneなどにも対応。モバイルやその他のコンソールについても近いうちに対応予定。
なお、Discord社によると「DiscordソーシャルSDK」の導入には、ゲーム内のコミュニケーションを強化し、ゲームへの定着率を高める効果が確認されているそうだ。「DiscordソーシャルSDK」を通じてアカウントを連携したプレイヤーはより頻繁にそのゲームを遊ぶようになり、未連携のプレイヤーと比べてプレイ日数が70%増加。1週間後の再プレイ率は90%増加したという(2024年のDiscord内部データ)。またDiscordによれば、現在Discordコミュニティには月間2億人以上のアクティブユーザーが存在しており、ユーザーがDiscordを利用しつつゲームをプレイする時間は合計月間19億時間を超えるという。そうした活発なDiscordコミュニティに対してゲームのリーチを拡大できるといった点でも、大きなメリットを享受できるだろう。
今回「DiscordソーシャルSDK」の複数の機能が新たに商用利用可能となったことにより、用途が大きく広がり、ゲーム開発者がゲーム内にコミュニケーション機能を構築する上での選択肢として存在感を増しそうだ。またDiscordを利用するゲーマーにとっても、今後さまざまなタイトルで「DiscordソーシャルSDK」が活用され、ほかのプレイヤーとさらに繋がりやすくなることに期待できる。
「DiscordソーシャルSDK」はDiscord Developer Portalにて無償で提供されている。また専用フォームから申請することで、限定ベータ機能へのフルアクセスが可能となる。