西郷真央に続き山下美夢有で年に2人も… 日本女子メジャー制覇の軌跡

◇女子メジャー最終戦◇AIG女子オープン(全英女子) 最終日(3日)◇ロイヤルポースコール(ウェールズ)◇6580yd(パー72)

山下美夢有がメジャー初制覇を達成した。最終日は首位から出てから出て、3バーディ、1ボギーの「70」でプレーし、通算11アンダーで頂点に立った。1977年「全米女子プロ選手権」の樋口久子を皮切りに、19年「AIG全英女子オープン」の渋野日向子、21、24年「全米女子オープン」の笹生優花、24年「アムンディ エビアン選手権」の古江彩佳、今年4月「シェブロン選手権」の西郷真央に続き、日本女子6人目のメジャーチャンピオンが誕生した。

1976年に「欧州女子オープン」で日本人選手として初めて米ツアーを制覇。翌年、サウスカロライナ州ベイツリー・ゴルフプランテーションコースで行われた「全米女子プロ」でも男女を通じて初のメジャー覇者になった。 3人が並ぶ首位から出た最終日に「69」で回り、2位に3打差をつけた。当時31歳。久子(ひさこ)から派生したニックネーム、“チャコ・ヒグチ”として一世を風靡した。1996年から2010年1月末まで日本女子プロゴルフ協会会長。現在は顧問を務める。2003年に世界ゴルフ殿堂入り。

42年ぶり、史上2人目の快挙を遂げたのは当時20歳、2年前にプロになったばかりの渋野日向子。初体験の海外ツアーで、物おじしないプレースタイルとその笑顔で世界をあっと言わせた。 イングランド・ウォーバーンGCでの最終日を首位からスタートし、一時的に後退しながら、最終18番で6mのバーディパットを沈めて「68」をマーク。1打差で後続を振り切った。外国人記者が名付けた「スマイリングシンデレラ」のニックネーム、ラウンドに駄菓子をほおばる「もぐもぐタイム」でも注目。2022年から米女子ツアーに本格参戦した。

プロ2年目、2回目の出場だった21年「全米女子オープン」で笹生優花が海外ツアー初優勝。カリフォルニア州オリンピッククラブで畑岡奈紗とのプレーオフを制した。 19歳11カ月17日での大会制覇は08年の朴仁妃(韓国)と並ぶ最年少。二重国籍のため登録上、母の母国であるフィリピン国籍で優勝した同大会から3年後の昨年6月、今度は父と同じ日本国籍で2回目の“女子ゴルファー世界一”に輝く。2位渋野とのワンツーフィニッシュを決めた。

アマチュア時代に2019年「富士通レディース」で国内女子ツアーを制覇した古江彩佳は2022年から米ツアーに本格参戦。同年7月に「スコットランド女子オープン」で海外初優勝を挙げた。 2年目は未勝利ながら年間ポイントレースで10位にランクイン。3年目の昨季、8回のトップ10入りを引っ提げてフランスでの「アムンディ エビアン選手権」に乗り込んだ。首位に1打差の2位から出た最終日「65」で回り、通算19アンダーで逆転した。

2019年の「日本女子アマチュア選手権」女王の西郷真央はプロ3年目の2022年に飛躍。日本ツアーで開幕戦を含む年間5勝をマーク。24年に主戦場を米国に移し、1年目にしてトップ10入り7回を決めて、日本人選手として1990年の小林浩美以来、史上2人目のルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。 2年目のことし、2月の「ブルーベイLPGA」で5位、4月初旬の「Tモバイル マッチプレー」では日本勢としてただひとりグループリーグを突破して9位。メジャー初戦「シェブロン選手権」は首位タイで最終日を迎え、西郷を含めた7アンダー首位で並んだ5人によるプレーオフへ。18番(パー5)で行われた1ホール目で唯一のバーディを奪って勝利を収め、優勝者の大会恒例となっている“池ダイブ”を決めた。

日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の規定改正により、2019年プロテストで笹生優花西郷真央とともに合格して“現役高校生プロ”に。西村優菜と同じ身長150センチで“最も小さい現役ツアープロ”として22、23年に年間女王を戴冠。3年連続で平均ストローク60台を記録した昨年の米女子ツアー最終予選会を1位突破した。

ルーキーシーズンは出場15試合で未勝利ながらトップ10を6回と安定した成績で、メジャー最終戦の本大会へ。初日4アンダー「68」の3位、2日目はフィールドベスト「65」で首位に浮上し、3日目「74」とスコアを落としながら首位キープ。最終日を「70」で後続に2打差をつける通算11アンダーで逃げ切った。2022年本大会から通算14回目のメジャー舞台で、待望の米ツアー初優勝を手にした。

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