クシュタールの提案、現時点で最善の選択になる保証ない=セブン社長
アイテム 1 の 2 3月6日、 退任が決まったセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長(写真左)は記者会見で、カナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタールからの買収提案に関し、米独禁法関連の課題解決に向けた具体策が見いだせていない点に触れ、「現時点で株主やステークホルダーにとって最善の選択になる保証はない」と述べた。 右は次期社長となるスティーブン・デイカス氏。都内で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
[1/2] 3月6日、 退任が決まったセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長(写真左)は記者会見で、カナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタールからの買収提案に関し、米独禁法関連の課題解決に向けた具体策が見いだせていない点に触れ、「現時点で株主やステークホルダーにとって最善の選択になる保証はない」と述べた。 右は次期社長となるスティーブン・デイカス氏。都内で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
独自の成長戦略を打ち出すとともに、引き続きクシュタールからの提案を含めた全ての戦略的選択肢を精査・検討することに変わりはない、とした。
次期社長となるスティーブン・ヘイズ・デイカス取締役会議長も「特別委員会はクシュタールや潜在的なその他の関係者との協議を継続している」とした。ただ「米国での規制のハードルは高い」とも述べ、裁判所に何度も拒否され、何年もかかることは避けたいと述べた。
井阪社長は5月の株主総会を経て退任し、デイカス氏に交代する。井阪社長は、グループは着実に成長してきたものの「さらなる成長実現のため、これまでと異なる施策も必要なフェーズに入った」とし、今が経営交代のタイミングだと説明した。また、イトーヨーカ堂などを統括する中間持ち株会社ヨーク・ホールディングスの売却が決まり、国内事業の構造改革に一定の区切りがついたことも理由に挙げた。
デイカス氏は「経営陣はきょう発表の施策で実現可能性の高い価値創造の機会が得られると確信している」と語った。
成長の要となる米国の戦略について、デイカス氏は、「(日本と)同じ品質の食品を米国に持ち込めれば非常に大きな、持続可能な成長の源泉になると考えている」と説明。「サプライチェーン(供給網)を米国に持ち込むことができれば、米国の消費者も日本の消費者と同じくらいラッキーな経験ができる」と述べた。
セブンを巡っては、株価の低迷がクシュタールの買収提案を招いたとの指摘も出ている。井阪社長は「決して満足していない」としたで、国内事業の構造改革にめどがついたこと、海外事業は収益が限られるライセンス権の付与から出資へと切り替えていることなどを踏まえ、「これから成長できる素地は作れたと思っている」とした。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab