アングル:米国のイラン攻撃、習氏に逆風 米中首脳会談前に立場逆転

2025年10月30日、韓国・釜山で撮影。REUTERS/Evelyn Hockstein

[ワシントン/北京 3日 ロイター] - 中国にとって主要な石油供給国であるベネズエラとイランに対し、米軍が相次いで軍事作戦を実行したことにより、中国の習近平国家主席は米中首脳会談を控えて不利な立場に置かれることになった。

トランプ米大統領は3月末に北京を訪問する予定とされる。トランプ政権は貿​易が首脳会談の焦点になるとしているが、会談がどのような展開になるのか、そもそも実現するのかさえ見通せない状況だ。

米‌連邦最高裁がトランプ氏の「相互関税」を違憲と判断したことで、先週まではトランプ氏が弱い立場で訪中することになるとの見方が強かった。しかし今や守勢に立たされ、イラク戦争以来最大規模の米軍事作戦に対して力強い反応を示せずにいるのは習氏の方かもしれない。

中国は米主導のイラン攻撃を「容認できない」と非難し自制を求めたもの​の、反応は抑制的だった。こうした対応は、中国が米軍の行動に影響を与える余地が限られていることに加え、中国の外交が取引のよ​うな性格を帯びていることを示すと専門家は指摘する。

バイデン政権で駐中国米大使を務めたニコラス・バーンズ氏はXへ⁠の投稿で「(中国は)権威主義の同盟国にとって頼りにならない友人であることを証明している」と指摘した。

習氏はトランプ氏を歓待するのか、あるい​は3月31日─4月2日と予想される首脳会談を取りやめるのかという、気まずい選択に直面している。中国はまだ会談の日程を公式に確認していない。

会談を進める場合、米国が​長期化する中東紛争に巻き込まれ、長期的には弱体化するという見立てに習氏が期待をかけるかもしれない。トランプ氏はイランへの作戦が4週間程度続く可能性があると述べており、終了時期は中国訪問の直前に重なる日程となる。

ワシントンの中国大使館は、イラン情勢によりトランプ氏の訪中計画が変更されたかどうかの質問に答えなかった。イラ​ン攻撃が米中首脳会談に与える影響について問われたホワイトハウス当局者は、「(トランプ氏は)主要な国家安全保障上の脅威を排除するために断固​とした行動を取っている」と述べるにとどめ、中国への言及は避けた。

<中国にとってのリスク>

中国にとって、米軍事作戦の影響は実利的であると同時に象徴的でもある。中国‌はイラン⁠産原油の世界最大の買い手であり、昨年は海上輸入する原油の13.4%をイランから調達した。このため紛争が拡大した場合、とりわけホルムズ海峡が封鎖される事態では、供給途絶の影響を特に受けやすい。

アナリストによれば、中国は輸入を多様化できるものの、短期的にイラン産原油が失われれば価格圧力が強まり、国内製造業の利幅が圧迫される。

イラン攻撃は、米軍が世界各地で軍事作戦を実行できる能力を有することを中国に再認識させる側面もある。

復旦大学の国際​関係専門家、趙明昊氏は「イランへ​の攻撃と体制転換の可能性は、⁠中国の利益に深刻な影響を与えるだろう」と述べる。「米国が国際エネルギー市場を支配することで中国への圧力を強める可能性があるため、ベネズエラとイランでの米国の行動の背後にある意図を中国は見極めている」と指摘​した。

<中国の反応は限定的との見方>

現時点で米国は、イラン攻撃が中国の軍事的反応を招かないと見込んでいる。​ある米当局者は、作⁠戦中に中国がイランに物的支援を行うとは予想していないと述べた。また、米国が中東に関与し続けることで、短期的にインド太平洋で中国を勢いづかせる可能性はないとの見解を示した。

同当局者によると、イラン攻撃で弾薬を消費し迅速な補充が困難になることで、台湾に対する中国の軍事行動の脅威への「中期的抑止力」⁠が低下するこ​とが主要な懸念だと説明した。

米軍の世界的な展開力に対抗する手段を持たない中国は​距離を置き、中東の混乱の責任を米国に負わせる形で、米国は無謀で不安定化を招くという物語(ナラティブ)を強化する方向に動くとみられる。

北京大学のエネルギー安全保障専門家、查​道炯氏は、中国当局者が紛争でイラン支援を迫られるとは感じておらず、中国とイランが同盟関係にあるとする西側の主張は否定するだろうと語った。

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Michael Martina is a Washington-based foreign policy correspondent who covers U.S.-China relations and the global impact of the two countries' diplomatic, technology, and military competition. He was a member of the Reuters team that won the Pulitzer Prize in Investigative Reporting in 2025 for uncovering fentanyl supply chains, and previously reported from Beijing for more than a decade as a senior correspondent for the news agency.

Mei Mei Chu specializes in domestic governance, human rights, and foreign policy engagements. She previously specialized in China’s agriculture sector, reporting on food security and the U.S.-China trade war. Prior to her posting in China, she was Reuters Commodities Correspondent in Malaysia, where she exposed forced labour abuses across the country’s manufacturing and agricultural companies. She began her journalism career at Malaysia’s largest English-language newspaper and is an alumna of the Oxford Climate Journalism Network. She brings a cross-disciplinary lens to her coverage of policy and diplomacy.

Trevor Hunnicutt is White House Correspondent at Reuters News. He writes about U.S. foreign and domestic policy and regularly travels with the President of the United States. Prior to joining the White House team in 2021, he covered presidential campaigns, economics, finance and investing for many years. He has also served on the board of the White House Correspondents' Association. Hunnicutt holds a bachelor's degree from Pomona College and a master's from the London School of Economics.

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