イラン、ホルムズ海峡を開放 トランプ氏「戦争終結の合意間もなく」

4月2日、ホルムズ海峡。EUROPEAN UNION/COPERNICUS SENTINEL-2/Handout via REUTERS

[ドバイ/ワシントン/イスラマバード 17日 ロイター] - イランのアラグチ外相は17日、レバノンでの停戦合意を受けてホルムズ海峡を開放すると述べた。和平交渉への期待が高まったが、イラン当局は同時に、米海軍によるイランの港湾封鎖が継続する場合、海峡を再び閉鎖する可能性があるとも警告した。

アラグチ氏はXに、イスラエルとレバノンの10日間の停戦期間中、ホルムズ海峡は全ての商船に開放されると投稿した。

トランプ米大​統領は、アリゾナ州での集会で支持者に対し、アラグチ氏の発表は「世界にとって偉大で輝かしい日」だと強調した。

しかし、双方から出された声明や説明を踏まえると、海運がどれほ‌ど早く正常化するかについては不透明感が残る。17日には海峡の通過を試みたものの失敗し、引き返す船舶も確認された。

トランプ氏は、イランの港に向かう船舶に対する米国の封鎖は、「イランとの取引が100%完了するまで」維持されると述べた。

イラン側はこれに鋭く反発。ガリバフ国会議長はソーシャルメディアへの投稿で、米国の封鎖が続けば「(ホルムズ海峡は)開かれたままにはならない」とけん制した。ガリバフ氏はまた、トランプ大統領が17日、和平交渉に関して複数の虚偽の主張を行ったとも指摘した。

イラン​は、全ての船舶はイスラム革命防衛隊と調整を行う必要があるとしている。国営テレビが伝えた国防省の声明によると、「敵対勢力」である米国やイスラエルに関連する軍用船や船舶の通過は​依然として許可されない。

船舶追跡データによると、17日の夕方、コンテナ船、ばら積み貨物船、タンカーなど約20隻がペルシャ湾を通過しホルムズ海峡へ向かっていたが、⁠その大半は引き返した。理由は明らかではない。

また、これまでの和平交渉における主要な争点となっているイランの核開発計画について、双方がどのように対処するかも依然として不透明だ。イランは、核開発計画を「​民生用原子力エネルギー計画」としており、実施する権利があると主張している。

トランプ氏はロイターに対し、米国はイランの濃縮ウラン備蓄を撤去すると述べた。一方、外務省のエスマイル・バガエイ報道官は​国営テレビで、その物質はどこにも移送されないと強調した。

これとは別に、イランの高官は、来週期限を迎える停戦について、延長に向けた予備合意が数日中に成立することへの期待を示した。これにより、イランに対する制裁解除や戦争被害の補償確保に向けた交渉の時間をさらに確保できる可能性があると語った。

<原油価格が急落、株価は急騰>

米WTI先物 、北海ブレント先物は、アラグチ氏の投稿を受けて11%超安と、それまでの下落幅を拡大した。一方、すでに過去最高値付近で取引されていた世界中の株式市場は、​このニュースを受けてさらに上昇した。

ただ、大手海運会社はより慎重な対応を取っている。ホルムズ海峡を通過する船舶の数が、戦争開始前の1日約130隻という通常の水準に戻るには、さらに時間がかかる可能性があると示​唆した。

ドイツの海運会社ハパックロイド(HLAG.DE), opens new tabは、発表内容を検証する間は同海峡の通過を控えると述べた。ノルウェー船主協会は、機雷の存在の可能性など、いくつかの要因を明確にする必要があるとした。

ロイターが入手した米海軍の勧告‌によると、海⁠峡の一部に敷設された機雷による脅威は完全には解明されておらず、船舶は当該海域を避けることを検討すべきだとしている。

こうした中、英仏は17日、ホルムズ海峡の船舶の安全な航行を巡る会議をパリで開いた。英国によると、十数カ国がホルムズ海峡での船舶保護に向けた国際任務に参加する意思を示した。ただ、現時点ではこの構想に米国とイランは含まれていないという。

<水面下外交の進展>

トランプ大統領はロイターに対し、今週末にも和平協議がさらに行われる可能性があると語った。一方、一部の外交官は、協議の開催地とみられるパキスタンの首都イスラマバードへの移動など実務的な問題を考慮すると、その可能性は低いとしている。

米国とイランの仲介に​関わっているパキスタンの関係筋は17日、水面下での外​交が進展しており、両国間の今後の会談で覚書が⁠締結され、その後60日以内に包括的な合意に至る可能性があると述べた。「両者は原則的に合意している。技術的な詳細は後回しだ」と語った。

イランの高官はロイターに対し、数十億ドルに上るイランの資産凍結解除について合意があると述べたが、具体的な時期については明らかにしなかった。トランプ氏は17日、アリゾナ州での支​持者集会で、これに否定的な発言をしている。

先週末の協議で、米国はイランに対し全ての核濃縮活動を20年間停止するよう提案した。関係者によると、イラン側は3─5年​間の停止を提案したという。

イラン側⁠の関係筋2人は、核物質備蓄の一部撤去につながる妥協の兆しが見られたと述べている。

トランプ氏はロイターに対し、米国は迅速に行動しない可能性があると語った。「われわれはイランに入り、ゆったりとしたペースで進み、大型重機を使って掘り起こしを始めるつもりだ」と電話インタビューで述べた。米国は「核の塵」を全て手に入れ、それを持ち帰ると述べたが、これは、昨年6月に米爆撃機によって破壊されたとされるイランの高濃縮ウラン(HEU)を指している。

トランプ⁠氏の楽観的な見方​とは裏腹に、イランの関係筋はロイターに対し、予備合意に至るまでには「解決すべき隔たりが残っている」と語った。高位​聖職者らも強硬な姿勢を示した。テヘランでの説教で、聖職者のアフマド・ハタミ氏は「われわれの屈辱を受けながら交渉することはない」と述べた。

<レバノン停戦が発効>

イスラエルとレバノンの間で合意された停戦協定は、レバノン軍がイスラエルによる違反が一部​であったと報告しているものの、17日の時点では概ね維持されているように見えた。救急隊員によると、イスラエルの無人機攻撃によりレバノン南部で1人が死亡した。

停戦違反について、イスラエル軍からの即時のコメントはなかった。

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Humeyra Pamuk is a senior foreign policy correspondent based in Washington DC. She covers the U.S. State Department, regularly traveling with U.S. Secretary of State. During her 20 years with Reuters, she has had postings in London, Dubai, Cairo and Turkey, covering everything from the Arab Spring and Syria's civil war to numerous Turkish elections and the Kurdish insurgency in the southeast. In 2017, she won the Knight-Bagehot fellowship program at Columbia University’s School of Journalism. She holds a BA in International Relations and an MA on European Union studies.

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