任天堂スイッチ2、主要半導体チップはサムスン電子が製造-関係者

任天堂が6月に発売する家庭用ゲーム機「スイッチ2」の主要半導体チップを、韓国サムスン電子が製造していることが分かった。複数の関係者が明らかにした。

  関係者によれば、サムスンはエヌビディアが設計したスイッチ2向けカスタムSoC(システム・オン・チップ)またはプロセッサーを製造している。来年3月までに2000万台以上のスイッチ2の出荷を可能にする製造ペースだという。サムスンはチップを増産することもできるが、スイッチ2の出荷台数は最終的には鴻海精密工業など組み立て業者の生産能力に左右される。

  初代スイッチのチップセット製造は台湾積体電路製造(TSMC)が担っていた。今回は、エヌビディア製チップがサムスンの製造システム向けに最適化されていることが決め手となり、切り替えに至ったと関係者の1人は話す。同関係者は、TSMCの生産能力確保で他社と競合する必要がなくなるため、この選択は任天堂に有利に働く可能性があると指摘する。

  任天堂にとって重要なのは、期待に応えるだけの生産体制を確立することだ。国内のスイッチ2抽選販売に想定を上回る約220万人が応募。古川氏はこれに応じ切れないことをX(旧ツイッター)で謝罪した。任天堂は抽選受付前からスイッチ2の生産強化に注力していた。

  同社が8日の決算発表で示したスイッチ2の今期販売計画は1500万台と、ブルームバーグがまとめたアナリスト予測平均の1680万台を下回る。古川俊太郎社長は米トランプ政権の関税措置が世界の需要とサプライチェーンに与える影響の不透明さが通期業績見通しに反映されていると説明したが、アナリストは上積みの余地があるとみている。

  サムスンとエヌビディアは今回の件についてコメントを控えた。任天堂の広報担当者は、サプライヤーについては開示しておらず、決算発表時に古川氏が回答した以上のことは答えないと述べた。

  古川氏は決算説明会で、スイッチ2の生産強化に努めており、生産能力の制限から予想販売数量を決めているわけではないと強調していた。

  サムスンがスイッチ2の半導体チップを製造することは朝鮮日報が14日に報じていた。

ディスプレーも

  失注が続いてきたサムスンにとってこれは福音となる。電子機器向け半導体分野で、ライバルTSMCに対して優位に立つことを意味するからだ。関係者によれば、スイッチ2にかかる契約は同社の受託生産(ファウンドリー)事業の稼働率向上につながる。

  サムスンは任天堂にメモリやディスプレーを供給しているが、半導体受託製造でもTSMCに対抗する足がかりを模索していた。同社の先端プロセス技術の顧客として任天堂のようなブランドを獲得すれば、ファウンドリー部門の存在感は高まる。

  一方、TSMCは米アップルやエヌビディアを取り込み、継続的な技術革新と安定した量産体制を武器にサムスンへのリードを広げてきた。微細化を進めており、年内に2ナノ(ナノは10億分の1)技術の導入を予定している。

  サムスンは長年にわたって初代スイッチ向けに、NAND型フラッシュメモリーや有機EL(OLED)ディスプレーを供給してきた。関係者の1人によると、同社は将来のスイッチ2アップグレードに向けてOLED採用を働きかけている。

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