専門家「法律的な縛りあまりなく設置できる」メガソーラー工事は一時中断も…社長は再開したい意向(STVニュース北海道)
北海道・釧路湿原周辺で建設中のメガソーラーを巡る問題で、事業を展開する日本エコロジーの松井社長がSTVの単独取材に応じました。 【解説】メガソーラー事業 「誤解招いた」と発言修正 工事の一時停止期間は1か月~1か月半 北海道 一旦工事を中断し、丁寧に協議を進める考えを明らかにしました。 9月11日に大阪市内の本社でSTVの単独取材に応じたのは、日本エコロジーの松井政憲社長です。 3時間以上にわたり、釧路湿原周辺で建設中のメガソーラーについて、改めて事業の正当性を強調しました。
(日本エコロジー 松井政憲社長)「事業地は釧路湿原国立公園の指定区域外で、概ね1キロメートル以上離れた開発可能エリアに位置している」 日本エコロジーが建設中の釧路市北斗には、およそ4.2ヘクタールにおよそ6600枚のソーラーパネルが設置される計画です。 この工事現場では、タンチョウやオジロワシなど希少な生き物への悪影響が懸念されるとして、釧路市が日本エコロジーに再調査を求めているほか、メガソーラー施設の建設を市の許可制とする条例案が市議会に提出されています。 さらに、道は9月2日、森林法に反する開発行為があったとして、一部の工事停止を求めていました。 9月9日、現地で国会議員に現状を説明した松井社長はこう主張していました。 (日本エコロジー 松井政憲社長)「立ち止まることもできない。投資額もかなりの投資をしているので」 その一方で、11日の取材で松井社長は、誤解を招いたとして発言を修正しました。 (日本エコロジー 松井政憲社長)「私どもの説明不足ですので修正させていただきます。本意は無条件に前進するという意味ではありません。本事業は工事を一時停止いたします。停止期間は1か月から1か月半程度を目安」 メガソーラー事業について、1か月程度は工事を中断し、関係機関と協議したうえで再開したい意向を示しました。
波紋を呼ぶ、釧路湿原周辺のメガソーラー建設。 影響は他の自治体にも。 タンチョウの飛来地として知られる釧路管内の鶴居村です。 村によりますと、2025年1月、村の景勝地周辺でメガソーラーの建設計画が一時浮上していたということです。 関係者によりますと、計画していたのは日本エコロジーで、村は景観や観光へのダメージを懸念し、民有地およそ7.5ヘクタールを購入する方針を固めました。 現在の村の条例には、景観に影響を及ぼす恐れがある開発行為については、村と事業者が事前に協議することを定めていますが、法的拘束力がなかったということです。 規制する法律が整備されていない現状について専門家は― (北海道教育大学 伊原禎雄教授)「ソーラーパネルが建物ではないということで、法律的な縛りがあまりなく、ソーラーパネルを設置できる。(国が)再生エネルギーを推進するうえで、そういった規制を緩くしてしまったということが、こうした状態を招いたのではないかと考える」
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この現状について、自民党の国会議員も言及していました。 (鈴木貴子衆院議員)「こういった事業者側・環境保護団体・自治体側、それぞれの意見の食い違いがあることや解釈の齟齬を生んでしまったことには、我々立法府の責任がある」 一方で、日本エコロジーの責任についてはー (自民党議員連盟 古屋圭司会長)「ルールをぎりぎりで対応したからこれは問題ない、推進していくというのは今の時代にふさわしくない。事業者の社会的責任はしっかり果たしていっていただきたい」 こうした状況のなか、今後の建設について、日本エコロジーの松井社長は歩み寄りの姿勢を見せています。 (日本エコロジー 松井政憲社長)「希少種への保護対策について追加の報告を行いながら、環境に配慮した計画運用を進めてまいります。私たちは無秩序な開発ではなく、地域と共生する再生エネルギーを目指していく」 次々と課題が浮かび上がるメガソーラー事業。 環境に優しいという太陽光発電が自然を壊しかねない矛盾に早急な対策が求められています。