宇宙空間に現存する「最古の人工衛星」。なんとか地球に持ち帰れない?
ヴァンガード1号。1958年に打ち上げられた世界で4機目の人工衛星であり、現在地球軌道上に存在する最も古い人工衛星です。このヴァンガード1号をなんとか地球に持ち帰ってこれないかな?というプロジェクトがあります。
人工衛星は、役目を終えると地球の大気圏に突入し自ら燃え尽きてその生涯を終えます。が、ヴァンガード1号は、まだ地球軌道上を飛び続けています。これを地球に戻し、詳しい調査をしたいと考えているのが、アメリカはバージニア州のコンサルファームBooz Allen Hamiltonのリサーチャー&エンジニアチームです。
どうやって戻すの?
3段打ち上げロケットの性能をチェックする主ミッションを背負っていたヴァンガード1号。1958年に打ち上げ後、交信を絶ったのは1964年。ただしトラッキングはできており、その場所は今もわかっています。大気圏に突入せず今も飛行しているのは、その楕円軌道が影響しているそうです。もし、地球への帰還が叶えば、地球に帰還した最古の人工衛星となります。
プロジェクトチームが考えているのは、まずヴァンガード1号を低軌道上に持ってくること。で、何かで回収するか、国際宇宙ステーションに巻き取ってもらう作戦。ちなみに、1984年にNASAは宇宙飛行士の船外活動で人工衛星を回収したことがあリます。なので、飛行軌道さえ下がればなんとでもできそう。
衛星をキャッチする前に、まずは調査衛星を飛ばして横付けし、ヴァンガード1号がどういう状態にあるかを間近でチェックする必要もあります。このあたりは、今民間宇宙企業でパートナーを模索中みたい。
持ち帰ったらどうするの?
チームが「最古」の人工衛星を地球に帰還させて調査したいのは、まずデブリに衝突してはいないか。もし、当時の形状を保てていたなら、設備の経年劣化具合が最も興味を引くところです。
「ヴァンガード1号の回収ができれば、未来のミッション(宇宙ごみ除去、地球軌道上での製造、ひいては深宇宙探査など)の技術開発にも役立つと考えます」とチームは語っています。
調査・研究が終われば、たぶん、ワシントンD.C.にあるスミソニアン国立航空宇宙博物館に展示されるのかな。
プロジェクトに関するレポートは、Aerospace Research Centerにて公開されています。
Source: Space.com