スキージャンプのホープ(19)が転落死 原因は「バルコニーでのスマホ使用」か ビルの入居者が明かす
日本のスキージャンプ界に激震が走ったのは今月3日のこと。名門「雪印メグミルクスキー部」に所属する坂野旭飛(あさひ)選手(19)が、札幌の歓楽街・すすきので転落死したのだ。
坂野選手はジャンプ界の将来を背負って立つと目された“若手のホープ”だった。
「事故が起きたのは1日の午前1時15分ごろでした」
と、地元記者が言う。
「メディアは当初、“札幌市西区の会社員”がすすきのにある雑居ビルの3階から誤って転落し、全身を強く打って死亡したと伝えていました。3日になって雪印が、亡くなったのは自社スキー部の所属選手だと発表したのです」
世代ナンバーワンの実力
すると坂野選手の実績にも注目が集まった。
「2022年から4大会連続で世界ジュニア選手権に出場し、昨年のW杯札幌大会は日本代表の参加最年少で初出場。世代ナンバーワンでした。と同時に、元ジャンパーである父との“親子鷹”も話題になりました」
父の幸夫さん(49)は雪印スキー部のコーチを経て、昨季まで監督を務めていた。
「その雪印に昨年入った坂野選手は、会見でアピールポイントは笑顔と話し“ジャンプ界の顔になりたい”と夢を語っていた。」
坂野選手の体内からはアルコールが検出されたというが、当日一体何が起こったのか。
“ドーン”とすさまじい音が
全日本スキー連盟の関係者によると、
「坂野くんと店で一緒にいたのは雪印スキー部の同僚ではなかった、とだけ聞いています。いずれにせよ、20歳未満だったのは事実。コンプライアンス上、アウトです。雪印は19歳の選手が深夜に酒を飲んでいたことは分かっているのに、その日の経緯をはっきり説明していません」
雪印メグミルクの広報担当者に聞いても、
「プライベートな出来事であり、弊社といたしましては、事実関係を現時点で把握できておりません」
雑居ビルに入る飲食店の関係者に当日の状況などを尋ねたところ、
「亡くなった方がいたのは、カウンターとボックス席があってダーツやカラオケができる店。いわゆるダーツバーです。経営者はお笑いタレントをやっている人物で、地元での交友関係は広い。二人は知り合いだったかもしれません。なお、3階に入っている他2店舗は、当日は共に休みでした」
ともあれ、坂野選手はダーツバーのバルコニーから落ちた。3階バルコニーから地面までは10メートルほどで、
「落ちたとき“ドーン”とすさまじい音が響いたんです。数分後に救急車が着いた時点で意識はないように見えました。介抱している複数の通行人は“マイナンバーカードとか、身元を特定できるものはないのか”と連絡先を探したり、“もう少しで救急車が来るよ。がんばって”と横たわる男性に声をかけていました」
介抱者たちの輪に、坂野選手と一緒だった人物がいたかは判然としないという。
転落前の状況
「ですが、転落前の状況は推測できます」
そう振り返るのは、雑居ビルの別の入居者だ。
「バルコニーの“柵”は胸下ほどの高さの分厚いコンクリートになっています。酔った坂野選手はここに乗り出すようにしてスマホで電話していたか、弄(いじ)っていたと思われます。で、なにかの拍子に手元が狂って落としてしまった。坂野選手は瞬時につかもうとしてバランスを崩し、転落したのではないでしょうか。事故後にやりとりした警察もそのように話していました」
この見方の傍証はある。坂野選手のスマホが、2階バルコニーの柵に落ちているのが見つかったのだ。
転落事故のひと月半後、8月13日に20歳を迎えるはずだった。
「週刊新潮」2025年7月17日号 掲載