アリババの復活鮮明、AGI開発「最優先目標」とCEO-株急伸

中国の電子商取引大手アリババグループの2024年10-12月(第3四半期)は、売上高がここ1年余りで最も大きく増加した。馬雲(ジャック・マー)氏が築いた中国ネット業界の草分け的存在が、数年にわたる停滞から脱却し、復活を遂げつつあることが鮮明となった。

  電子商取引(eコマース)と、人工知能(AI)の取り組みを担うクラウドサービスという最も重要な2つの事業がいずれも予想を上回る増収となった。

  決算発表を受けて、米国市場に上場するアリババの米国預託証券(ADR)は序盤の取引で一時15%値上がり。

  投資家が強気に傾いている背景には、アリババがAI分野での競争力強化に力を入れていることがある。呉泳銘(エディ・ウー)最高経営責任者(CEO)は決算会見で、向こう3年にAIインフラ投資をさらに拡大していくとの考えを表明。

  「これは数十年に1度しか訪れない業界変革のチャンスだ」とし、「アリババのAI戦略に関しては、汎用人工知能(AGI)の開発が最優先目標だ」とまで言い切った。

  アリババは2023年、馬氏が最も信頼を寄せる側近の2人である蔡崇信(ジョー・ツァイ)会長と呉CEOの下で、AIとeコマース向け投資に再びかじをきった経緯があり、足元の業績回復につながっている。 

  20日の発表によると、10-12月の売上高は予想を上回る8%増の2802億元(約5兆8000億円)となった。

  さまざまなAI関連プロジェクトを擁し外部顧客向けにコンピューティング能力を提供するクラウド部門の売り上げは13%増の43億ドル(6500億円)。

  アリエクスプレスやトレンディオールなどの海外マーケットプレイスがけん引する国際商取引事業の売上高は32%急増した。

  かつて中国のeコマース業界で圧倒的な存在だったアリババは、政府による締め付け強化でインターネット事業が大きな打撃を受けた。

  アリババの時価総額は2025年に約1000億ドル増加したが、当局による締め付け強化前につけたピーク水準をなお大幅に下回っている。 

関連記事:AI期待で時価総額17兆円増加のアリババ、20日の決算発表が試金石に

  シリコンバレーとウォール街の双方に衝撃を与えたDeepSeek(ディープシーク)の台頭は、アリババをはじめとする中国テクノロジー株にとっては追い風となり、ここ数週間の上昇につながった。アリババの株価は、予想1株当たり利益の13倍を超えた。

  アリババのバリュエーションはこのまま上昇が続けば、5年間の平均である15倍まで回復する可能性があると、エドモン・ド・ロスチャイルド・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、シァドン・バオ氏は述べた。

原題:Alibaba Surges as Comeback for Jack Ma’s Empire Takes Hold (1)(抜粋)

関連記事: