ロシア軍がウクライナに450発の長距離ドローン・ミサイル攻撃、ミサイル24発は全て阻止(JSF)

JSF軍事/生き物ライター
ウクライナ空軍より2025年7月21日迎撃戦闘の集計報告

 2025年7月21日のウクライナに対するロシア軍の長距離ドローン・ミサイル攻撃は合計450飛来(ドローン426機+ミサイル24発)という大規模攻撃でした。なお最近はドローン飛来数が急増しており、安価な囮無人機が半数以上を占めるとはいえ、7月は1日平均約237機が飛んで来ています。ただしミサイルは減少傾向で、6月はパブティナ作戦(蜘蛛の巣作戦)の報復でミサイル使用数が一時的に増加しましたが、7月はまた減って来ました。ただしミサイルは小出しにしながらも回数がやや増えている傾向です。

2025年7月:長距離ミサイル攻撃10発以上の飛来記録

  • 2025年7月21日:合計450飛来(ドローン426機+ミサイル24発)
  • 2025年7月19日:合計379飛来(ドローン344機+ミサイル35発)
  • 2025年7月12日:合計623飛来(ドローン597機+ミサイル26発)
  • 2025年7月10日:合計415飛来(ドローン397機+ミサイル18発)
  • 2025年7月09日:合計741飛来(ドローン728機+ミサイル13発)
  • 2025年7月04日:合計550飛来(ドローン539機+ミサイル11発)

※※長距離ドローン攻撃は毎日飛来しており急激な増加傾向。7月分は21日時点でドローン4981機、1日平均約237機。ただし半分以上は安価な囮無人機。

※ミサイル攻撃は数日おきに数発ずつの低調な攻撃が続いており、7月分は21日時点でミサイル攻撃12回、一度に10発以上の纏まった数が飛来したのは6回。

2025年7月21日迎撃戦闘:ウクライナ空軍司令部

各種ミサイル合計×24飛来24撃墜(または電子妨害で無力化)

  • キンジャール空中発射弾道ミサイル×5飛来
  • カリブル巡航ミサイル×4飛来
  • イスカンデルK巡航ミサイル×1飛来
  • Kh-101巡航ミサイル×14飛来

自爆無人機と囮無人機×426飛来200撃墜203未到達

ウクライナ空軍より2025年7月21日迎撃戦闘の集計報告

※迎撃率は未到達を除いて計算。

※敵ミサイルは24発全て味方目標に命中した記録は無い。

※敵ミサイルの撃墜分と電子妨害で外れた分の比率は言及が無い。

ЗБИТО/ПОДАВЛЕНО 224 цілі: 「224目標を撃墜/抑制」

  • - 200 ударних БПЛА типу "Shahed" 「200機、シャヘド型攻撃無人機」
  • - 24 ракети різних типів 「24発、各種ミサイル」 

* 203 БПЛА- імітатори — не досягли цілей (локаційно втрачені/подавлені РЕБ) 「203機の模倣無人機 - 目標に未到達(位置消失/電子戦で抑制)」

※РЕБ:電子戦の宇語での略語。※抑制:ここでは電子妨害の意味。

※模倣無人機:囮無人機の意味。

※位置消失:囮無人機が燃料切れで墜落したケースがほとんど。

 7月21日のウクライナ空軍司令部の報告では珍しくミサイル各種を全てまとめて撃墜ないし電子妨害で無力化したと書かれてあり、突破は無く味方目標に命中した記録は無いと明言されています。おそらく敵ミサイルが目標に突入してくるも単純に外れたケースも含まれているでしょう。報告が正しければミサイル24発は全弾排除し迎撃率100%です。

 長距離ドローン攻撃は未到達を除いて計算すると迎撃率90%ですが、飛来数が多いので23機に突破されています。

※攻撃経路の可視化地図の出典 : https://t.me/monitorwarr/30404

  • 赤色:イスカンデルK巡航ミサイル、Kh-101巡航ミサイル
  • 青色:キンジャール空中発射弾道ミサイル
  • 橙色:自爆無人機と囮無人機

2025年7月21日ミサイル残骸回収ウクライナ国家非常事態庁

ウクライナ国家非常事態庁よりキーウでロシア軍のKh-69巡航ミサイルの残骸を回収

※ロシア軍のKh-69空対地巡航ミサイル:特徴的な真四角の断面

ウクライナ国家非常事態庁よりキーウでロシア軍のKh-69巡航ミサイルの残骸を回収

※真四角の断面はロシア軍のKh-69空対地巡航ミサイルの特徴だが、2025年7月21日のウクライナ空軍司令部の発表ではKh-69の記載がない。空軍が他の巡航ミサイルと誤認していた可能性がある。

※ウクライナ空軍司令部の発表ではKh-69最後の使用記録は先月の6月17日だが、その当時にこの写真の報道は見当たらない。もっと過去の報道や発表でも見つからない。

※以前に撃墜されて落下した残骸が今見付かったとは考え難く(住宅地の中で目立ち過ぎる)、おそらく今日の7月21日撃墜分のミサイル。

※回収した残骸はミサイルの中央部分やや前方で中に爆発弾頭が収まっている。場所はキーウの北の住宅街(50.539911, 30.490082)、位置特定者:Dominik

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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