トランプ大統領、中国の習主席と19日会談-TikTokの枠組みで合意
マドリードで行われた米中閣僚級貿易協議は、中国の字節跳動(バイトダンス)が展開するTikTokの米国内での運営を維持するための枠組みで合意した。トランプ米大統領は、中国の習近平国家主席と19日に会談する予定だと明らかにした。
トランプ氏は15日、ソーシャルメディアに「習国家主席と金曜日に話す。米中関係は依然として非常に強固だ!!!」と投稿した。両首脳の会談は6月以来となる。トランプ氏は閣僚級協議について、「非常にうまく行った!」と述べた。
ベッセント米財務長官は、マドリードでの協議終了後、記者団に対し、TikTokの米国内での運営継続に関して枠組み合意に達したと説明。トランプ氏と習氏が会談し、合意を完了させると述べた。
ベッセント氏は「トランプ大統領と習主席は金曜日に会談し、合意を完了させる。だがTikTokに関する合意の枠組みは既に存在する」とし、「TikTokを米国の管理下に置かれた所有形態に切り替える枠組みだと考えている」と語った。
中国側の通商交渉を担当する李成剛商務次官は記者団に対し、TikTokに関して「コンセンサス」の枠組みに達したと述べる一方で、中国は原則を犠牲にしてまで合意することはないと警告した。
トランプ氏はその後、記者団に対し、新たな事業に中国政府が引き続き関与するかどうかは、まだ決まっていないと発言。ただ、TikTokを巡る交渉が「中国との関係をより近づけることにもつながるかもしれない」とし、習氏との接触を通じて一段と広範な貿易合意の実現を目指す意向を示唆した。トランプ氏は自身の最大の関心事として「率直に言って、もっと重要なのはビッグディール(大きな取引)だ」と話した。
脅しが決め手
この枠組み合意の条件は明らかにされなかった。また、バイトダンスが米事業を売却しなければ米国内でのTikTok使用を禁止する法律の要件を満たすかどうかは不透明だ。この法律は昨年成立し、今年1月に発効していた。
トランプ氏は既にTikTokの米事業売却の猶予期限を複数回延長し、マドリードでの協議は現行の猶予期限切れが週内に迫る中で行われた。
ベッセント氏は、米国内でTikTokを停止させるというトランプ氏の脅しこそが、最終的に枠組み合意を成立させる決め手になったと説明した。
マドリードでの協議終了後、ベッセント氏はインタビューで「中国側はTikTokに関して大きな要求リストを持ち込み、それを補償と呼んでいた」と発言。「だがトランプ大統領がグリア米通商代表部(USTR)代表と私に与えてくれた交渉上の力を背景に、米国として大幅な譲歩の余地はないことを中国側に納得させることができた」と述べた。
滞在先のホテルからインタビューに応じたベッセント氏は、「実際のところ中国が得たのは、起こり得ないことに関する約束であり、何かを引き出したわけではない」と説明した。
また米当局者は15日、TikTokを巡り何も合意していなければ、10月末に韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせてトランプ氏と習氏が対面で会談する可能性は排除されていただろうと説明。トランプ氏の中国公式訪問の可能性もなくなっていたと語った。当局者は、デリケートな問題だとして匿名を条件に語った。
関税の停止
米中の高官協議は9月に入り活発化。APECにはトランプ氏と習氏が共に出席する見通しで、直接会談の可能性がある。先週には、ルビオ国務長官とヘグセス国防長官が中国側のカウンターパートと会談した。
関連記事:米中の国防相が協議、ヘグセス長官「米国は中国との対立望まず」 (1)
両国は互いに課した高関税措置を一時停止しており、最新の期限は11月10日までとなっている。
関連記事:トランプ米大統領、中国との関税休戦90日延長-11月10日まで (2)
グリアUSTR代表は15日に記者団に対し、11月の期限到来時に関税停止措置をさらに延長する可能性を示唆した。
「協議が今後も前向きに進めば、さらなる措置を検討する用意がある」とグリア氏は話した。
次のラウンド
ベッセント氏とグリア氏はマドリードでの協議について、焦点はTikTokに絞られ、他の議題は事実上先送りされたことを明らかにした。ただ中国側は、米国による輸出規制への懸念を提起したという。
14日の協議を前に、中国は米国の半導体分野を対象に2件の調査に着手した。それより先に米国は、半導体メーカーを含む中国企業23社を、「米国の国家安全保障や外交政策上の利益に反する活動に携わっている」と見なされた企業のリストに追加していた。
ベッセント氏は15日、記者団に対し、「約1カ月後に別の場所で再び貿易協議を行う」と述べた。ベッセント氏はこれまで5月にジュネーブ、6月にロンドン、7月にはストックホルムで中国の何立峰副首相と協議している。韓国でのAPEC前に米中間で貿易合意に至ることができるかは「まだ不透明だ」と、ベッセント氏は語った。
関連記事:米中、関税停止期間延長の協議継続で合意-トランプ氏に最終判断仰ぐ
「われわれはTikTokに非常に注力し、中国側にとって公正であると同時に米国の国家安全保障上の懸念を完全に尊重する合意であることを確実にすることに重点を置いた。その点は確実に合意に達した」とベッセント氏は説明した。
原題:US, China Reach TikTok ‘Consensus,’ Setting Up Trump-Xi Call (2)、US, China Reach TikTok ‘Consensus,’ Setting Up Trump-Xi Call (1)、Bessent Says Trump’s Threat of TikTok Shutdown Delivered Deal(抜粋)