米国・イラン合意が破綻、石油在庫取り崩しの先に待つものは? <コモディティ特集>

7/22 13:30 配信

●覚書が破綻、再び全面戦争の恐れ 米国とイランの軍事衝突が再び激しくなっている。先月合意したイスラマバード覚書は早速破綻した。覚書に基づいてイランがホルムズ海峡の管理を主張している一方、ホルムズ海峡のオマーン航路を自由に航行しようとする船舶が後を絶たず、イランが船舶攻撃を繰り返し米軍が報復するなかで応酬が激化した。 イランはクウェートやバーレーン、ヨルダンに激しく攻撃している。この三ヵ国には米軍基地があるだけでなく、イランからは米国そのものであるとみなされており、戦闘激化で被害が更に広がっていくだろう。クウェートでは淡水化施設や発電所、石油関連施設が標的となっており、攻撃対象は軍事施設にとどまらない。バーレーンにある米アマゾンのデータセンターも破壊された。イラン国内では地上戦を仕掛けやすいクウェートへイラン革命防衛隊(IRGC)が侵攻するとの観測があり、全面戦争の機運が高まっている。 ヨルダンのムワッファク・サルティ米軍基地で米兵の死傷者が発生したこと受け、「トランプ米政権は全面戦争の瀬戸際に立たされている」と、米ワシントン・ポストが米政府高官の話として伝えた。ただ、この米政府高官は防空設備やミサイルの枯渇など、米国が作戦を維持するうえでの限界も指摘している。地上戦も含めた全面戦争が始まるならば長期戦を覚悟しなければならないが、米軍に残されている戦力は十分ではないようだ。また、全面戦争による戦費拡大リスクに、財政懸念がつきまとう米国債市場が耐えられるのか不透明である。米長期債利回りは危険水域とみられている4.50%の節目を上回って推移している。●石油不足が続けば米国はリセッションの危機 仲介国を通じてイランに10日間の停戦が提案されたとの報道はあるが、米国とイランが交わした覚書が破綻した直後であり、双方に停戦する意味はあまりない。イランにとってホルムズ海峡の管理は譲れない一線であり、米国としては 石油市場の覇権を左右するホルムズ海峡をイランに渡すわけには絶対にいかないため、どちらかが諦めるまで衝突するほかない。仲介国としては、とりあえず戦闘を停止させて協議に結びつけたいとしても、イスラマバード覚書の復活でも目指すのだろうか。覚書の第1項であるレバノン停戦すら実現できなかったことからすると、仲介国の無力感は明らかだ。 フーシ派はサウジに対する海洋封鎖を開始し、ホルムズ海峡を通過するタンカーはかなり限定されている。石油市場は供給不足であり、世界経済は石油在庫を取り崩すしかないが、取り崩しが不能となったとき石油ショックが発生するだろう。そうなれば世界経済は急激に縮小する可能性が高い。世界最大の石油消費国である米国は景気後退に見舞われ、イランがホルムズ海峡を管理することになるのではないか。リセッションに耐えながら米国がイランを攻撃し続けるのは不可能だと思われる。石油不足が続けば年内にイラン戦争は強制的に終了するだろうが、その際には経済危機もやってきそうだ。(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

株探ニュース(minkabu PRESS)

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最終更新:7/22(水) 13:30

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