インド、米不法滞在1万8000人を強制送還へ-トランプ政権と協力

インド政府はトランプ政権と協力し、米国に不法滞在しているインド国民を特定し、本国に送還する準備を進めている。モディ首相がトランプ大統領との関係を深め、貿易戦争を回避したいと考えていることを示す新たなシグナルだ。

  事情に詳しい関係者によれば、米国はインド人の不法移民約1万8000人を特定している。インドはこうした移民の身元を確認し、米国から出国させる手続きを開始する予定。

  ただ、米国にどれだけ多くのインド人が不法に滞在しているのかは不明で、国外退去者数がさらに多くなる可能性もある。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。 

  関係者によると、米国に不法に滞在し続けているインド人は、特にパンジャブ、グジャラート両州出身の若者が多い。

Source: US Customs and Border Protection

  他の多くの国々同様、インドはトランプ政権と折り合いを付け、貿易面での脅威を回避しようと水面下で働きかけを進めている。

  不法移民取り締まりは、トランプ氏が大統領選で掲げた目玉政策。トランプ氏は20日の大統領就任式を終えると、米国の出生地主義廃止やメキシコ国境への軍派遣などを発表した。

  インドは、米国への協力の見返りとして、インド国民が米国に入国する際に利用する合法的な移住ルート、例えば学生ビザ(査証)や熟練労働者向けの「H-1B」プログラムなどをトランプ政権が堅持することを期待している。

  公式データによれば、2023年に発給されたH-1Bビザ38万6000件のうち、インド人による取得がほぼ4分の3を占めた。

  米国向けの不法移民対策が不十分だと、インドの他国との労働および移動に関する協定にも悪影響が及びかねないと、関係者は指摘する。モディ政権はここ数年、台湾やサウジアラビア、日本、イスラエルなどと関連の協定を結んでいる。

  インド外務省のランドヒル・ジャイスワル報道官は「移民・移動に関する協力の一環として、インドと米国は不法移住を阻止する取り組みを行っている。これは、インドから米国への合法移住のルートを増やすためだ」と説明。その上で、昨年10月に実施されたチャーター便による米国からのインド人強制送還は「こうした協力の成果だ」と述べた。

原題:India Set to Take Back 18,000 Citizens From US to Placate Trump(抜粋)

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