1月CPIが利下げ観測と相場展開に影響か=今週の米株式市場
[ニューヨーク 7日 ロイター] - 今週の米株式市場は、12日に発表される1月の消費者物価指数(CPI)に注目が集まりそうだ。
背景にはトランプ米大統領が推進する関税政策によってインフレ懸念が再燃し、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを継続できるかどうかに不確実性が生じていることがある。FRBは1月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、今後のデータで事態が明白になるのを待ちたいと説明し、政策金利据え置きを決めた。
アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏は「インフレは金利環境にどのようなインパクトを与えるかという面で2025年の不確定要素だ。物価が高まる状況では、FRBが利下げを続ける可能性は後退し、株式市場がそれを好感しないのは間違いない」と述べた。
こうした中で大きな手掛かりとなる1月CPIは、ロイター調査によると前月比0.3%の上昇が予想される。
もっとも複数のアナリストは、1月はさまざまな季節的要因からCPIの予測がより難しい時期に該当するので、結果次第で株価の振れが大きくなる可能性があると警告した。
米国の物価上昇率は2022年に40年ぶりの高い伸びを記録した後は減速基調に転じ、昨年はFRBが利下げできる環境になったものの、まだFRBが目標とする2%まで鈍化しているわけではない。
B・ライリー・ウエルスのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「(CPIが)また上振れするのを見たくないのは確かだ。そうなれば政策金利は、われわれが現在想定するよりも長い間、高止まりするのではないかとの懸念が出てくる」と指摘した。
LSEGのデータに基づくと、市場ではFRBが次回3月のFOMCで政策金利を据え置く確率は80%、年内の利下げ回数はおよそ2回と見込まれている。
7日に発表された1月雇用統計で、非農業部門雇用者の伸びこそ予想を下回ったが、失業率が4%に低下し、労働市場の堅調さを裏付けたことも、3月の金利据え置き予想を強める形になった。
また年内の想定利下げ回数を減らす動きもある。モルガン・スタンレーのエコノミストチームは、従来の年内2回から6月の1回のみに予想を修正。「今年の金融政策の経路は依然として不確実性が高い」とノートに記し、関税を巡る不透明感が利下げのハードルを上げているとの見方を示した。
FRBの政策運営姿勢に関しては、パウエル議長が11日に上院、12日に下院で予定している議会証言で少し明らかになるかもしれない。
2024年10─12月期の米企業利益は、これまでS&P総合500種銘柄の半数超が発表を終えた現段階で前年同期比12.7%増と、1月初めに見込まれた9.6%増から切り上がったことが、LSEG・IBESのデータから分かる。
アメリプライズ・ファイナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、アンソニー・サグリムビーン氏は、関税についての不確実性はあるが、10─12月期決算は総じて株価にとってプラスに働いていると分析している。
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