米国債のタームプレミアム上昇、10年ぶり高水準-米政策が予測不可能
- 予測不能な関税政策が米国債への投資家の信頼を損なう懸念
- 減税案や発行限度額引き上げの可能性もタームプレミアム押し上げ
10年物米国債のタームプレミアムが10年ぶり高水準に上昇した。トランプ政権の予測不能な関税政策が米国債への投資家の信頼を損なうのではないかとの懸念が背景にある。
ニューヨーク連銀の最新データによると、10年債のタームプレミアムは先週0.71%まで上昇し、2014年9月以来の大きさとなった。タームプレミアムとは、満期までの間の金利変動リスクを負う代償として投資家が求める上乗せ利回り。
タームプレミアムを押し上げる要因の一つは、米国の経済政策の予測不可能性の高まりだ。トランプ米大統領が高関税を発表し、その後一部の関税を一時停止したことを受け、不確実性の指標は今月、過去最高に達した。減税案や米国債の発行限度額引き上げの可能性も、米国債のタームプレミアムを押し上げている。
ヤルデニ・リサーチ創業者のエド・ヤルデニ氏はリポートで「利回りを押し上げているのは根本的な懸念だ。単に、投資家がボラティリティーの中でポジションを解消しているということではない」と述べ「恐らく、財政赤字を拡大させ政策の不透明性を高めるような新たな債務上限法案の可能性が、債券のタームプレミアムを押し上げているのだろう」との見方を示した。
ブルームバーグの指数によると、米国債は先週2.4%下落し01年以降で最大の週ベース下落率となった。14日には0.5%上昇し、5営業日連続の下げに歯止めがかかった。ベッセント米財務長官は、他の国が米国債を売っているという臆測を否定し、必要に応じて展開することができる「大きなツールキット(道具箱)」があると述べた。
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原題:Treasury Term Premium Jumps to Decade High on Policy Uncertainty(抜粋)