ドル、月間で2023年来の大幅安-トランプ関税政策が一転マイナス要因

ドルは月間ベースで約1年ぶりの大幅安となりそうだ。トランプ米大統領の関税政策で米景気拡大が脅かされていることが背景にある。

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は2月3日に付けた取引時間中の最高値から4%余り下落。関税政策の二転三転や発動延期などを受けて、ドル売りの動きが進んでいる。トランプ政権の計画が世界の基軸通貨であるドルを支えるとみられていた年初から、状況が一変した格好だ。

  バークレイズの通貨ストラテジスト、スカイラー・モンゴメリー・コーニング氏は「トランプ氏の政策からポジティブな影響は得られず、マイナス面ばかり表れている。米経済指標は鈍化し、追加の米景気刺激策への期待は後退、関税政策は一貫性を欠き、欧州の対応措置は予想外に大規模だ」と述べた。

  米景気減速がデータで示唆される一方、欧州が支出拡大に動く中、ドルに関して弱気に転じる投資家が増えている。25日に公表された3月の米消費者信頼感は4年ぶりの水準に落ち込んだ。

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  米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したデータ(3月18日終了週)によると、ヘッジファンドなど投機筋がドルショートに転じた。トランプ氏の大統領就任を控えた1月中旬には、ドルロングのポジションが膨らんでいた。

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  ダブルライン・キャピタルのポートフォリオマネジャー、ビル・キャンベル氏は、短期的にはドルに対してどちらかと言えば中立姿勢だが、「やや弱気に傾いている」と話した。就任式前の段階では、投資家はトランプ氏が選挙戦で掲げていた公約のどれをまず実行するのか見極めようとしていたが、トランプ氏はあまりに多くの課題に同時に取り組んでおり、「政策実行リスク」が大きくなっていると分析した。

  4月初旬に関税の発表が迫っているものの、ブルームバーグのドル指数は月初から2.2%安。23年11月以来の大幅な下げとなっている。

原題:Dollar Suffers Its Worst Month Since 2023 as Bullish Bets Recede(抜粋)

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