【西武】冨士大和が1年強で急成長&支配下登録 実証した「高卒育成プロ入り」への大きな可能性
西武の冨士大和投手(19)が24日、球団と支配下契約を交わし、真新しい背番号「67」のユニホームに袖を通した。
「1軍の舞台に立てるようにずっと練習してきました。今こうやって選ばれてすごくうれしいです」
24年育成ドラフト1位で大宮東(埼玉)から入団した。入寮から1年3カ月での支配下登録だ。
広池浩司球団本部長(52)は「相当早いです。このスピードで駆け上がってくるとはちょっと思わなかったですね」と、成長の加速度ぶりに目を丸くする。
ドラフト会議前には8球団から調査書が届いた。ただ西武も含めて全12球団が、冨士を支配下選手としてドラフト指名しなかった。
「評価が分かれる…個性的なフォームは良く見てくれる球団もあれば、もしかしたらマイナスとして見る球団もあるので。私たちはそこを個性としてプラスに評価したということで獲得できたんですけど…」
とはいえ当然、すんなり決まった訳でもない。
「実際に担当スカウトも(内容が)良くない試合も見ていますし、迷った部分もあったと思います。ただ、いい時の彼のポテンシャルっていうのは抜けてたので。三振を取る能力(の高さ)、ですよね」
広池本部長に「もし育成ドラフトがなかったら冨士は支配下で指名されていたか?」と仮定の問いかけをした。本部長は「難しい質問ですよね」と声を小さくしながら、続けた。
「もし支配下ドラフトだけしかなかったら、(指名)ギリギリのラインかなとは思いますね」
昨今、高校生の育成ドラフト指名が増え、「育成指名なら進学か就職」「育成指名なら独立リーグ」といった高校生も増える。
そんな中で「高卒育成プロ入り」を選択し、驚異のスピードで支配下をもぎとった冨士は何を思うか。
「プロの世界でしか教われないこともありますし、プロ、NPBの打者を相手に投げるというのはやっぱり大学野球とは大きな違いもあると思うので。その部分が今の結果につながっているのかなと思います」
冨士自身は昨年7月に141~142キロ程度だった球速が、現在はリリーフということもあるものの140キロ台終盤をアベレージで出すほどになっている。同期で高卒入団の篠原響投手(19)も同じように球速を急激に伸ばしている。
冨士は「人それぞれとは思います」と前置きしながら「投球ドリルでのチューブを使ったメニューが球速アップにつながったと思います。並進運動のスピードや、足をついてからの球持ちが良くなった結果、指先に力が伝わるようになりました」と自己分析する。
広池本部長は冨士が昨春、ケガで一時期フルメニューの練習から外れたことも「それまでの疲れがガッと取れて、そこから伸びてきて。けがの功名だったのでは」と推理し「今後の取り組みへの参考にもなります」と話す。1人の努力と成功と、そこへ至るプロセスが、育成契約への障壁をまた低くする。【金子真仁】