ソフトバンク「Galaxy」効果で契約増 他社から顧客奪う

ソフトバンクはこの春、「Galaxy S25シリーズ」を扱うようになった。コンシューマ事業副統括である本田欣也氏は、「Galaxyを扱い始めたことはとても評判が良く、我々の想像以上に契約数が伸びた」と話す。 【もっと写真を見る】

 今も昔も、携帯電話キャリアの競争軸は5つあると言われてきた。    料金プラン、端末ラインナップ、ネットワーク品質、サービス、サポート。    いずれも他社に負けていたら、ユーザーを奪われてしまう。ライバルから顧客を奪うには、この5つを磨き上げる必要がある。    2025年7月9日、サムスン電子は折りたたみスマートフォンの最新モデル「Galaxy Z Fold7」「Galaxy Z Flip7」を発表した。従来モデルよりも大幅に薄型化を実現。びっくりするほどの薄さにおもわず声が出てしまうほどだ。    ニューヨークの発表会会場にはソフトバンクのコンシューマ事業副統括である本田欣也氏が来ていた。    本田氏も「Galaxy Z Fold7の薄さは本当にスゴい。開いたときの画面の広さも素晴らしい。私自身も使いたいと思うぐらい。今までの折りたたみはどうしても分厚いイメージがあり、ポケットに入れてもかさばるような印象を持つ人もいた。しかし、今回のモデルは普通のスマートフォンと変わらないサイズ感で人気が出るのではないか。我々、チームのメンバーも『欲しい』と言っているものが多い」と評価する。   サムスン電子端末を扱うのは10年ぶり    ソフトバンクはこの春、「Galaxy S25シリーズ」を扱うようになった。同社がサムスン電子端末を扱うのは10年ぶりのことになる。本田氏は「ソフトバンクがGalaxyを扱い始めたことはとても評判が良く、我々の想像以上に契約数が伸びた。過去にはどうしてもGalaxyが持ちたいが、ソフトバンクにはないからと契約してくれなかったユーザーもいた。この春、ようやくソフトバンクでGalaxyが使えると本当に喜んでくれた人が多かった」と振り返る。    実際、Galaxyを扱い始めたことで今までよりも他社からMNPで移行してくるユーザーが増えたという。    ひとつには、Galaxy S25シリーズに対する「新トクするサポート」、いわゆる端末購入サポートにおいて、大盤振る舞いな価格設定が大きかった。    ただ、単にGalaxyを契機に他社からソフトバンクを契約したユーザーは端末購入サポートだけが新規契約した理由ではなかったようだ。    本田氏は「いままではGalaxyがなかったため、PayPayを中心としたソフトバンク経済圏に興味があっても、契約を見送っていた人が相当数いた。Galaxyを扱い始めたことで、そんな人たちにソフトバンクを契約してもらえるようになった」という。   PayPayと料金プランが競争力に    ソフトバンクにはPayPayのポイントが貯まりやすくなる料金プランである「ペイトク」がある。また、NTTドコモやKDDIが相次いで料金プランの値上げを発表する中、ソフトバンクはいまのところ静観の構えを見せている。    PayPayというサービス、さらにいまのところ値上げする様子がない料金プランが、現在のソフトバンクの競争力になっているのだ。    また、サポート面においても、本田氏は「Galaxyについて、豊富な知識を持つ『Samsung Galaxy Ambassador』が販売に携わっている。彼ら、彼女らがご説明することで、お客さんにGalaxyの魅力を理解していただけるのではないか」という。    他キャリアでGalaxyを使っていたユーザーがMNPで移行してくるだけでなく、ソフトバンクということで、iPhoneからの乗り換えという人も少なからずいるだろう。そうした「初めてのAndroid、Galaxy」という人に対してSamsung Galaxy Ambassadorがしっかりとサポートできる体制を整えているというわけだ。   「端末」と「品質」の両輪が顧客獲得の原動力    ソフトバンクがiPhoneを独占的に扱っていたころ、ネットワーク品質は他社に比べて明らかに劣っており、「iPhoneは欲しいけど、ネットワーク品質が悪いソフトバンクは選ぶ気がしない。ネットワーク品質のいいNTTドコモからiPhoneが出るのを待つ」なんて声があった。    しかし、ここ数年、ネットワーク品質においてソフトバンクがナンバーワンを獲っていたこともあったし、いまではKDDIと競り合っている状態だ。    ソフトバンクとしては、個性的なスマートフォンを独占的に扱っても、必ずしも顧客を獲得できるわけではないと肝に銘じている。端末ラインナップとネットワーク品質、この両輪が上手く回ってこそ、顧客獲得の原動力になるのだ。    この春、10年ぶりにサムスン電子のデバイスを扱うようになったソフトバンク。ラインナップが増えただけではNTTドコモとKDDIに肩を並べただけにすぎない。    料金プラン、ネットワーク品質、さらにサポートがそろって初めて他社から顧客を奪えるようになるということのようだ。     筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)    スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。   文● 石川温

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