中国で「小型ハイエンドスマホ」が人気の理由、火付け役はあのメーカー 日本で新たな選択肢になるか
そもそも海外では、コンパクト(小型)とは、どれほどのサイズを指すのか。国や地域によってばらつきがあるものの、今回参照した中国でのアンケート調査では、6.1型前後の画面サイズを求める声が多い。 調査では6.1型と回答した人が26%と最も多く、次いで6型以下、6.5型と続く。理想的な画面サイズでは「6.5型以下」のサイズを求める声が半数以上を占めるなど、6.5型を超える大画面が主流だった中国市場にも変化が見られる。 また、表題の調査では画面サイズを指標としつつも、ソニーのXperiaのような21:9比率の機種は画面サイズが大きくても横幅を抑えられることから、調査では名指しで例外とされている。 理想的なスマートフォンのサイズに6.5型以下を選ぶ理由として、バーコード決済を含む電子決済の普及、動画視聴スタイルが縦向きのものが増えたことが考えられる。 中国は日本以上にスマホ決済が普及している地域だ。決済時はスマートフォンを用いてWeChat Payやアリペイといった手段で電子決済を行う場面が日常的に見られる。日常的にスマートフォンを持ってQRコードをかざしたり、カメラを使って読み取ったりする動作が必要になる。 動画視聴では縦動画のコンテンツも多く、インフルエンサーによるライブ配信、ライブコマース実演販売も盛んだ。これらのコンテンツを日常的に視聴するとなれば、しっかり握れる手ごろなサイズ感が求められる。 小型スマホの分野で口火を切ったのは、日本でも存在感を示すXiaomiだ。2021年末に発売された「Xiaomi 12」は6.28型の画面を備え、前作とは全く異なる路線に足を踏み入れた。これは中国国内の需要を拾うよりも、XiaomiのスマートフォンがiPhoneやGalaxyと並ぶラインアップをそろえ、グローバル展開を本格化するための製品だった。 Xiaomiが中国で「コンパクトなハイエンドスマホ」という認識を高めた機種は、2023年の発売から2カ月で100万台以上を売り上げたヒット作「Xiaomi 14」シリーズだ。価格が安かったこともあり、上位のProよりもコンパクトな「無印」が飛ぶように売れた。 ライカコラボの高いカメラ性能、小型でも大容量のバッテリーで電池持ちがよく、手ごろなサイズながらSnapdragon 8 Gen 3を世界初採用。このハイエンドスマホが市場で注目されたこともあり、以降、中国メーカー各社が続くことになる。 日本ではどうだろうか。2020年にMMD研究所が行った調査では、片手に収まるサイズ感の機種を求める声が3割を占めている。片手に収まるサイズ感は明確に定義されていないものの、一般的に幅71mm(iPhone 16など)前後が多い。一方でソニーのXperia 10や5シリーズは幅60mm台のため、コンパクトで持ちやすい機種は幅70mm以下という認識も根強い。 中国で小型とされるXiaomi 14は幅が71.5mmなので、これを小型と呼んでいいかは賛否が分かれる。中国市場の小型スマホが、日本では小型とはいえないケースは多そうだ。