買う気ゼロでも「タダで新車乗りたい!」迷惑客に「ありがたいのですが…」販売店のホンネとは? 試乗で「性能フル発揮」暴走行為も…まるでスーパーの“試食コーナー”の実態
新型車が出ると試乗のキャンペーンが行われ、誰でも試乗できます。ただし、だからといってむやみやたらに「試乗だけしまくる」のは販売店にとって迷惑なようです。
やっぱり「冷やかし試乗」は迷惑なのか?
多くのディーラーには試乗車が用意されており、新型車が登場すれば試乗会やキャンペーンなども積極的に行われ、よほどの高級車や特殊なクルマでない限り、運転免許さえあれば気軽に試乗させてくれます。
しかし、だからこそユーザー側にもある程度の「自重」や「配慮」が求められます。
すぐには「買うつもりはない」けれど、実車を見てみたい、せっかくだから試乗もしてみたい。
あるいは、前から気になっていた注目のニューモデルだけに、「買うことはないけれど」試乗はしてみたい。
気になるクルマがあれば、実車を試乗することによって、クルマのフィーリングや乗り心地、見切りの良さなど、カタログや動画の試乗インプレッションなどでは分からなかった手応えを感じることができます。
ほとんどの場合、ディーラーのスタッフが同乗し、近所をひとまわりするような10分〜30分程の試乗コースが設定されています。
そしてもちろん、ディーラー側からすれば、ユーザーから試乗をお願いされれば断るわけにはいきません。
すぐに「買える(資金がある)か」どうか分からないような一見客にも、希望すればたいていのディーラーは試乗させてくれます。
忙しくても試乗車を用意し、エアコンを調整して快適な車内空間を作りあげてくれます。
運転席に乗り込むころには夏場は涼しく、冬場は暖かく、シートヒーターまでオンになっていることもあり、まさに至れり尽くせりです。
しかしその影で、一部の「図々しい迷惑客」によって、ディーラー側が見えない苦労や困りごとを抱えていることも事実です。首都圏にある国産車販売店のスタッフは以下のように話します。
「基本的に試乗は大歓迎です。お客様がいくらYouTubeで試乗動画を観ていたとしても、実際に運転してみなければ分からないことがたくさんありますから。
ただ、表向きにはいえませんが、ご試乗いただくうえで本当は避けて欲しいことがあるのも事実です。特にスポーツ系のモデルで多いのが、一般道での急加速および急ブレーキ、急ハンドルでの試乗です。
ハンドリングやブレーキフィーリングを試したいのだと思われますが、クルマにも少なからずダメージがありますし、乱暴な運転をしていると、SNSで拡散されてしまうリスクもあります。
仮に『試乗中(TEST DRIVE)』といったステッカーをクルマに貼っていたとしても、『あのクルマのディーラーは乱暴な運転を容認している』といった書き込みをされてしまうこともありえます」
せっかく試乗するのであれば、たしかに極力全部の機能を試し、走行性能もフルで試したい気持ちはわかります。しかし、これはサーキットのクローズド試乗ではなく、むしろ普段使いのフィーリングを試す場所です。しかも今ではSNSが普及したことで、いつどこで晒し上げられるかわかりません。
そもそも、購入前提ならまだしも、ふらっと「試食」する感覚でこういう行為をするのは、それはディーラーにとってメリットは何もなく、大変な迷惑になります。
「あと、これは完全に販売店側の都合ではありますが、試乗が目的の場合、1台でも多く受注したい土日の日中や月末などの繁忙期はできれば避けていただけると本当はありがたいんですけれど、さすがにこれはお客様にはいえないです」(国産車販売店スタッフ)
相手は「お店」で商売としてやっているわけです。それを超えたものを要求してくる者は、もはやお客とは呼べないでしょう。