「自分を強くするのは、やっぱりメジャー」 渋野日向子が“汚いゴルフ”を自信に変えた1週間
◇女子メジャー第2戦◇全米女子オープン presented by アライ 最終日(1日)◇エリンヒルズ(ウィスコンシン州)◇6829yd(パー72)
渋野日向子が「きたねーゴルフ」と表現した自分のプレーが、「何かが欠けていたら、何かで取り返せる」と自信に変わったのは最終日を終えてから。メジャーで優勝を目指した4日間は、壁を破る突破口になるかもしれない。
「ちょっとでも何かかみ合えば、絶対上位にいける」と期待を持った今シーズンは、思うように結果が出ない時期が続いた。大会前の今季ツアーベストはメジャー第1戦「シェブロン選手権」での44位。もどかしさを感じる中で、期待が空回りする怖さもある。今週も「“ダフり”がオトモダチ」と手前をたたくミスが出た。思うように体が動かない状況で、手を放しながらボールをコントロールした。
2位で予選を通過しても、「本当に、ラッキーの積み重ね」。今週タッグを組んだ佐々木裕史キャディから見れば、ショートゲームで耐えた姿は「アプローチとパターが良くて、力がある。本当に勝負強い」と頼もしく映る。「渋野さんは“ラッキー”って言うけど、ラッキーはみんなにある。自信がなさげというか、謙虚に話していますけど、ここ(全米女子オープン)にかける内なるものは、あると思います」。自分への期待にブレーキをかけるような言葉の裏に、勝ちへの熱量はずっとあった。
グリーンスピードが速く、攻めすぎれば傾斜でこぼれるセッティングをショートゲームで耐えた。2打差3位で迎えた最終日も「最初から最後まで、去年よりも勝ちたいと思って回っていた」と粘りながら、パー5の1、14、18番で2オンを狙ってアグレッシブに上を目指した。
優勝したマジャ・スターク(スウェーデン)に4打及ばない通算3アンダー7位。「直さなきゃいけないところがたくさん」と悔し涙を流したが、変化は確かにあった。 “汚い”と評したゴルフに自信が持てたことがそのひとつ。4日間でショートゲームのスコア貢献度を示すスタッツは大会2位、パッティングは4位に入った。「何かでパーが獲れるゴルフを、これからも続けていきたい」と自分の武器を再確認できた。
次週に参戦する「ショップライトLPGAクラシック by Acer」は、3日間大会で昨年の優勝スコアが通算14アンダーと雰囲気がガラッと変わる。「今週のゴルフでは、予選通れないっていうくらいボロッボロ。伸ばし合いになるとバーディが獲れないからキツいんです。いっぱいバーディを獲りたいから、ショットを頑張らないと」とメジャーで得た課題に向き合う。
「メジャーではけちょんけちょんにされた記憶ばっかり。経験していくと、また新しい自分を見つけることができる。よりいっそう自分を強くさせてくれるのは、やっぱりメジャー」。悔し涙を流した今週は、次のステージに進むきっかけをくれた。(ウィスコンシン州エリン/谷口愛純)
谷口愛純(たにぐちあずみ) プロフィール
1992年生まれ。社会部記者、雑誌の営業その他諸々を経てGDOに入社。ゴルフは下手すぎて2017年に諦める。趣味は御朱印集めと髪色を変えること、頭皮を想って最近は控えてます。