本間幸司引退試合「本間幸司と水戸ホーリーホックの歴史が凝縮された日。ケーズデンキスタジアム水戸は愛と笑顔に包まれた」【レポート】※無料記事
【写真 水戸ホーリーホック】
6月14日、「花道じゃない。挑戦状だ」をテーマに開催された「本間幸司引退試合」。本間幸司の歴史と水戸ホーリーホックの歴史が凝縮された90分であり、いかに本間幸司という男がこの水戸の地で喜びや感動をもたらしてくれたか、そして、多くの人から愛されたかを再確認することができた90分となりました。
J1で戦う現役の水戸ホーリーホックの選手たちと、本間幸司GMがこれまでともにサッカーをしてきた仲間たちで組まれた「KOJI ALL STARS」が対決しました。本間幸司選手は、前半はKOJI ALL STARSのGKとして水戸の前に立ちはだかり、後半は“J1”の水戸ホーリーホックのゴールマウスを守りました。
キックオフ直後から、「点を取れ」という樹森大介監督の指示を受けた水戸の選手たちが勢いよく本間幸司選手が守るKOJI ALL STARSゴールに襲い掛かりました。8分にはペナルティエリアに進入した水戸の鳥海芳樹選手が放ったニア上へのシュートを本間幸司選手は鋭い反応でセーブ。さらに9分にも根本凌選手のヘディングシュートを止めるなど、現役時代と変わらぬ好セーブを連発して会場を沸かせました。
そして、18分にKOJI ALL STARSの白井永地選手がミドルシュートを放ちます。GK早川ウワブライト選手がはじいてこぼれたボールを梅田魁人選手が蹴り込んで先制します。さらに26分には安藤瑞季選手が強引な中央突破から豪快なシュートを突き刺して、リードを2点差に広げました。30分にはペナルティエリア前でKOJI ALL STARSがFKを獲得。木山隆之監督からの指名により、本間幸司選手がキッカーを務めます。「思い切り打ったら正面に飛んじゃいました」と苦笑いをしながら振り返ったように、GKにキャッチされてしまいました。
32分にはPKの大ピンチを迎えました。キッカーは17分からFWとして起用されていた西川幸之介選手。左隅を狙って蹴ったボールを腕を伸ばしてはじき出し、またしても“守護神”として大きな存在感を示しました。その後、KOJI ALL STARSは森勇人選手、水戸は粟飯原尚平選手と鳥海芳樹選手がゴールを決めてKOJI ALL STARSが1点リードして前半を終えました。
親子対決のサプライズ
後半、本間幸司選手はJ1の水戸のGKとしてプレーしました。ただ、その本間幸司選手の前で輝きを放ったのは、水戸から世界へ羽ばたいた選手たちでした。50分、細かなパス交換を繰り返して中央に進入していった伊藤涼太郎選手がループシュートを放ちます。意表を突かれた本間幸司選手は下がりながら腕を伸ばしますが、わずかに届きませんでした。あまりにも美しいゴールに会場から大きな歓声が上がりました。
さらに83分には昨季終了後水戸からベルギー・KVCウェステルローへと移籍した齋藤俊輔選手が左サイドから中央に切り込み、昨季何度も見せたような鋭いシュートをゴール右隅に突き刺しました。
ただ、水戸の選手たちも負けてはいませんでした。60分に右サイドからのクロスのこぼれ球に反応した渡邉新太選手が弾丸ボレーシュートを突き刺すと、69分には左サイドからのクロスをファーに走り込んだ渡邉選手が落とし、走り込んだ板倉健太選手がゴールに流し込みました。
そして73分に水戸がPKを獲得。キッカーは本間幸司選手。すると、主審の村上伸次さんはスプレーでゴール右に向けて矢印を描きます。その方向通りに本間幸司選手がシュートを蹴り込んで、水戸加入28年目にして、初ゴールを挙げました。ゴールが決まると、両チームの選手たちが本間幸司選手のもとに集まり、胴上げをして祝福しました。
86分、この試合最大のサプライズが演出されました。伊藤槙人選手に替わって、ピッチに投入されたのは、本間幸司の息子である中学1年生の本間幸亜君でした。「まさか出場するとは思わなかった」と本間幸司選手が明かしたように、両監督による粋な計らいだったそうです。本間幸司選手と同じ赤いGKユニフォームを着用して、ピッチに送り込まれました。すると、ゴール前で幸亜君が板倉健太選手に倒されてPKを獲得。親子対決のPKが実現したのです。緊張感が走る中、幸亜君は本間幸司選手の裏を突いて左隅にボールを流し込み、ゴールを決めます。KOJI ALL STARSの選手たちに抱きかかえられて喜びを分かち合いました。
その直後のキックオフから本間幸司選手がドリブルを開始。ボールを奪おうと、スライディングをする選手たちを次々と抜いていき、10人を抜き切ってGK笠原昂史選手と1対1の局面を迎えます。そして、本間幸司選手は笠原選手の股を抜くシュートを放ち、この日2点目となるゴールを決めてみせました。
試合はそこで終わりませんでした。90分、水戸の大森渚生選手が蹴った右CKは中央に構えていた本間幸司選手のもとへ。トラップしてから力強く右足を振り抜きました。ハットトリック達成かと思われましたが、鋭い弾丸は笠原選手の正面へ飛んでしまいました。ボールをキャッチした笠原選手は前線へボールを送り込みます。ボールを受けたのは最前線で待ち受けていた本間幸亜君。GK本間幸司選手がゴール前に出てきているため、無人のゴールにドリブルしていきます。その横を痛風のため裸足でプレーしている“野人”岡野雅行選手が駆け抜けますが、幸亜君がそのまま無人のゴールに蹴り込んで、お父さん同様この日2点目のゴールを決めて、試合を締めくくりました。
試合前のイベントを含め、ケーズデンキスタジアム水戸は本間幸司と水戸ホーリーホックへの大きな愛で包まれていました。そして、“ホーム”としてのケーズデンキスタジアム水戸とはこれで一旦お別れとなり、また、本間幸司選手も正式にピッチを離れて、GM職に専念することとなります。 「今日でサッカー選手としては終わって、長くやらせてもらってよかったですし、本当にサッカーって素晴らしいなと思いました。サッカーに育ててもらった男ですし、そのサッカーに失礼のないようにこれからも第2のサッカー人生を進んでいきたい」
充実した表情で本間幸司GMは過去に感謝しつつ、希望に満ちた未来を創り出していくことを誓いました。
(佐藤拓也)
参加選手 水戸ホーリーホック GK本間 幸司 GK松原 修平 GK西川 幸之介 GK上山 海翔 GK春名 竜聖 GK早川 ウワブライト DF牛澤 健 DF飯田 貴敬 DF大森 渚生 DF板倉 健太 DF真瀬 拓海 DF佐々木 輝大 MF加藤 千尋 MF鳥海 芳樹 MF新井 瑞希 MF長尾 優斗 MF仙波 大志 MF山﨑 希一 MF碇 明日麻 MF山本 隼大 MF山下 優人 MF川上 航立 FW根本 凌 FW渡邉 新太 FW粟飯原 尚平 FW多田 圭佑
FW奥田 晃也
KOJI ALL STARS GK本間 幸司 GK笠原 昂史 DF田向 泰輝 DF伊藤 槙人 DF村田 航一 DF細川 淳矢 MF木村 祐志 MF岡野 雅行 MF船谷 圭祐 MF齋藤 俊輔 MF森 勇人 MF金久保 順 MF佐藤 祥 MF鈴木 雄斗 MF白井 永地 MFロメロ フランク MF黒川 淳史 MF小野 伸二 MF伊藤 涼太郎 FW髙崎 寛之 FW中山 仁斗 FW木下 康介 FW梅田 魁人 FW鈴木 隆行
FW安藤 瑞季