令和のリアル:小6夏に「塾やめる」中学受験目前で意欲失い、反抗期も…母の答えは
それは、中学受験の天王山とされる小6の夏休みに起きた。
「俺、塾やめる」
首都圏のベッドタウンに暮らすともみさん(50代、仮名)の次男、レンさんが親に相談もせず、通い慣れた進学塾にやめると告げたというのだ。
せっかく受験勉強してきたのに――。
親としては、慌てて考え直すよう言い聞かせたくなる場面だ。
しかし、ともみさんは息子と向き合い、その意思を受け入れた。
この判断が、レンさんの勉強への姿勢を変える転機になった。
<主な内容> ・成績急ブレーキ 友人に取り残され ・兄弟の反抗期 家庭が修羅場に ・退塾した息子へ母が伝えた言葉 ・夏休み終盤に転塾「諦めたくない」 ・レンさんが両親に贈った手紙
「令和のリアル 中学受験」第26部は8月下旬に公開予定です。
マイペースで繊細な性格
塾に通い始めたのは、小4の2月だった。
小3から通うケースが一般的な中学受験では、やや遅いスタートだ。
「受験には向いてないというか……。小さい頃からしっかりしてなかった子で」
幼稚園の頃のレンさんは先生の膝の上が定位置。「何もできない幼い子という感じでしたね」
小学校に上がると、勉強にも苦労した。
「100点満点のテスト?ってびっくりするような悲惨な点数でした」
性格的にも、繊細な一面があった。
他の子が怒られているだけで悲しくなったり、服のタグが気になって着られなかったりするのだ。
「だから、学校に通うだけでオールOKとしていました」
しかし中堅私立中へ楽しそうに通う三つ上の兄の姿を見ていたからだろうか。
「受験してみる?」と水を向けると、「やってみる」と返ってきた。
偏差値38からのスタート
塾に通い始めても「優等生タイプ」の兄とは対照的だった。
入塾テストの結果、偏差値は38。
「まあそうだろうな」。母は冷静に受け止めた。
塾の責任者からは「まずは45を目指そう」という話があった。50まで上がったら行きたい学校を選べるようになる、という。
振り分けられたのは一番下のレベルのクラス。
しかし、レンさんは並外れた集中力を発揮し始めた。
ともみさんいわく「カラカラのスポンジ脳」が、学んだことをどんどん吸収していった。
小5の秋ごろには、偏差値50前後まで伸びた。
そこまでは、順調だった。
成績停滞…友人に取り残され
発端は、塾のクラスで仲良くなった友人たちの「昇格」だ。成績を伸ばし、次々に上のクラスへ上がった。
気付けば、自分だけが一番下のクラスに取り残されていた。
「俺、塾やめようかな」
「待ってるから、もうちょっと頑張れ」
息子と友人との間で、…