「退職という健康法」「週4日勤務の力」「通勤時間と家の広さ」──知っておきたい労働と健康の研究4つ(ITmedia NEWS)
慶應義塾大学と早稲田大学の研究チームが発表した調査によると、退職は全体的に健康に良い影響を与えることが明らかになった。35カ国における50~70歳の約10万7000人を平均6.7年間追跡した結果、退職後には認知機能の向上、日常生活動作の自立性向上、主観的健康評価の改善、運動不足の解消を確認した。 特に性別による違いが顕著。女性の健康改善度は男性の約2倍に達し、記憶力などの認知機能がより大きく向上した。入浴や買い物、金銭管理といった日常生活動作を自立して行える確率も女性の方が顕著に上昇し、喫煙率も減少した。研究者らは、女性が退職後により社会的に活発になる傾向があることや、仕事上のストレスからの解放が喫煙習慣の改善につながっている可能性を指摘している。 この退職による健康効果は、国や地域、所得水準、学歴、退職前の仕事特性に関わらず、35カ国全体で一貫して観察できた。高齢化が進む中で年金支給開始年齢の引き上げが議論される現代において、この研究結果は重要な示唆を与えている。 (関連記事:“退職”は健康に良い影響――慶大と早大が研究報告 50歳以上約10万人を対象に調査)
米ボストン・カレッジとアイルランドのユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの研究チームは、週4日勤務制の実験を実施した。オーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、英国、米国などの141組織、約2900人の従業員を対象に、「80%の労働時間で100%の給与」というモデルを6カ月間試験的に導入した。 結果は、週平均労働時間が39.21時間から34.01時間へと約5時間減少し、それに伴って従業員のウェルビーイングが顕著に改善された。バーンアウト(燃え尽き症候群)は減少し、職務満足度は上昇。精神的健康と身体的健康の両方が改善し、対照的に試験に参加しなかった企業ではこれらの変化は見られなかった。 さらに、労働時間の削減幅が大きいほど改善効果も大きく、週8時間以上の削減を達成した従業員が最も大きな恩恵を受けた。この改善の背景には、労働能力の自己評価向上、睡眠の質の改善、疲労感の軽減、運動頻度の増加があった。追加の休日を健康的な活動に活用することで、生産性を維持しながら生活の質を向上させるという働き方の可能性を示した。 (関連記事:「週4日勤務」を140社で半年テスト 給料は同じ、労働時間は減少 従業員はどう変わった? 米国チームが発表)