米ロ首脳、ウクライナ停戦合意至らす トランプ氏「非常に生産的」

 トランプ米大統領は15日、ロシアのプーチン大統領と米アラスカ州で約3時間会談した(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ワシントン/モスクワ 16日 ロイター] - トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は15日、3年半続くロシアのウクライナ侵攻を巡って会談した。会談後にプーチン氏と並んで会見したトランプ氏は「非常に生産的だった」としたものの、焦点だった停戦や解決に向けた合意には至らなかった。

会談は米アラスカ州で約3時間行われた。両首脳とも短時間の記者会見の中で進展を強調したが、詳細は明かさず、報道陣からの質問も受けなかった。

トランプ氏は「我々は多くの点で合意した」と説明。「いくつかの大きな問題についてはそこまで至らなかったが、一定の前進はあった。合意するまで取引はない」と述べた。

停戦の実現、さらにウクライナのゼレンスキー大統領とプーチン氏の会談というトランプ氏が事前に設定した目標に対し、今回の会談が実質的な進展をもたらしたかについては、現段階で判然としない。

プーチン氏は共同会見で、ウクライナと欧州諸国が米ロ交渉の結果を受け入れることを期待すると述べ、解決に向けた進展を妨害しないよう警告した。

「今日の合意がウクライナ問題の解決だけでなく、ロシアのすべての正当な懸念を考慮し、欧州と世界全体の公正な安全保障のバランスを回復する基準点となることを期待している」とした。

一方でプーチン氏は、安定した平和の実現にはロシアが紛争の「根本的原因」と主張する要因を取り除く必要があるとの立場を改めて表明。依然として停戦に前向きではない姿勢を示した。

プーチン氏にとって、今回の首脳会談は結果がどうなるにせよ大きな勝利だった。ロシアを孤立させる西側の試みが破綻し、ロシアが外交の重要な場で正当な地位を取り戻しつつあると国際社会に示すことができる。

一方、トランプ氏は停戦を実現することで地域に平和をもたらし、ノーベル平和賞にふさわしい仲介者としての評価を高めたいと考えている。

<中国への「2次関税」>

会談を終えたトランプ氏はFOXニュースのインタビューに応じ、 ロシアから石油を購入する中国への「2次関税」について「今は考える必要はない。会談はとてもうまくいったと思う」と述べた もっと見る

トランプ氏は、ウクライナ侵攻を終結させる動きがなければロシアだけでなく、ロシアから石油を輸入する国々に関税を課すと警告していた。中国とインドは、ロシア産石油の最大の輸入国だ。インドには25%の追加関税を先週課したが、中国には同様の措置を取っていない。

インタビューの中でトランプ氏は、プーチン氏、ウクライナのゼレンスキー大統領との3者会談を設定する可能性にも言及した。詳しい内容には踏み込まなかった。ゼレンスキー氏に対する助言を問われると、「取引をしなくてはならない」と答えた。「ロシアは非常に大きな力を持っているが、ウクライナはそうではない」と話した。

ウクライナ政府の反応は現時点で得られていない。トランプ氏はプーチン氏との共同会見で、ウクライナのゼレンスキー大統領と北大西洋条約機構(NATO)首脳に電話をして会談内容を報告すると明らかにした。

<会談中もウクライナ東部で空襲警報>

ロシアがウクライナに侵攻して以降、トランプ氏とプーチン氏が直接会談するのは初めて。当初予定していたトランプ氏とプーチン氏の1対1ではなく、3対3で行われた。米側はルビオ国務長官とウィットコフ中東担当特使、ロシア側はラブロフ外相とウシャコフ大統領補佐官が同席した。

アラスカの空軍基地に到着したプーチン氏には、レッドカーペットが用意されていた。上空を米軍機が飛ぶ中、トランプ氏はプーチン氏を温かく迎え入れた。

両首脳の会談中も、ウクライナ東部の大半の地域では空襲警報が鳴っていた。ロシアでもロストフ州とブリャンスク州の知事らが、ウクライナのドローン攻撃を受けていると報告した。

ウクライナの野党議員オレクシー・ホンチャレンコ氏はメッセージアプリのテレグラムに、「プーチン大統領は時間を稼いだようだ。停戦も緊張緩和も合意がなかった」と書き込んだ。

チェコのヤン・リパフスキー外相は声明を出し、「プーチン大統領が平和交渉に真剣だったなら、きょう一日、ウクライナを攻撃することはしなかっただろう」と述べた。

トランプ氏は共同会見の最後、「ありがとう。すぐにまた話をし、おそらくすぐに会うことになる」とプーチン氏に告げた。「次回はモスクワで」とプーチン氏が英語で応じると、トランプ氏は「少し批判を受けるかもしれない」とした上で、「あり得るかもしれない」と述べた。

ウクライナのゼレンスキー氏は米ロの首脳会談に先立ち、3者会談につながることに期待を示す一方、ロシアがなお戦争を続けていると付け加えた。「戦争を終わらせるときだ。必要な措置はロシアが取らなければならない。我々はアメリカを頼りにしている」とテレグラムに書き込んだ。

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As Russia Chief Political Correspondent, and former Moscow bureau chief, Andrew helps lead coverage of the world's largest country, whose political, economic and social transformation under President Vladimir Putin he has reported on for much of the last two decades, along with its growing confrontation with the West and wars in Georgia and Ukraine. Andrew was part of a Wall Street Journal reporting team short-listed for a Pulitzer Prize for international reporting. He has also reported from Moscow for two British newspapers, The Telegraph and The Independent.

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