【大河ドラマ べらぼう】徳川家治役・眞島秀和さんインタビュー「最期は治済に一矢報いたかった」「ふだんの生田さんは爽やかで笑顔がステキ」「幕末の人物も演じてみたい」

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で徳川家治を演じる眞島秀和さんにインタビューしました。権謀術数渦巻く江戸城内で、田沼意次(渡辺謙さん)を信頼し続けた十代将軍・家治。嫡男をはじめ、有能な部下たちも次々と奪われ、自身も毒牙にかけられた家治は、最期どんな気持ちで一橋治済(生田斗真さん)と対峙したのでしょう。眞島さんにお聞きしました。

家治は理想的な上司?

――今回、どのように家治を演じようと思われましたか?

眞島さん:家治は将棋を非常に愛した将軍で、あまり仕事に携わらなかったという説もありますが、このドラマでは田沼意次との信頼関係がしっかり描かれています。意次に政治を任せながら、最終的な責任は自分がとる、という二人の関係性が感じられる将軍像をイメージしながら演じました。

――家治のどこに魅力を感じますか?

眞島さん:第19回で、意次に向って「十代家治は凡庸なる将軍であった。しかし、一つだけすばらしいことをした。それは田沼主殿頭を守ったことだ……」と吐露するシーンがありました。自分のなかで一番印象に残っているシーンですが、そこに家治の魅力が凝縮されていると思います。

――家治は大河ドラマにはじめて登場する将軍です。実際に演じられて、名君だったと思いますか?

眞島さん:台本で描かれている以上に、家治は意次から報告を受けていたのではないかと想像しています。意次の政治の進め方に納得していたから、任せることができたと思います。将棋をしながら、報告を受けていたのかもしれません。

――家治は理想的な上司だと思いますか?

眞島さん:責任を取ってくれる上司に仕事を任されたら、がんばれそうですね。ただ、収録現場の場合は、全部任されるよりグイグイと引っ張ってくださる演出さんのほうが心強いです。僕はヒントが欲しいので、好きなように演じてと言われると少し困ります(笑)。

治済に一矢報いたい

――第15回では嫡男・家基(奥 智哉さん)が不審な亡くなり方をしましたが、家治はどう理解していたのでしょう?

眞島さん:家治は状況をつかめていなかったと思います。納得できないことが重なっても、立場上、取り乱すわけにもいかず、受け止めるしかないと堪えていたと思います。

――家治の死の間際、治済と対峙するシーンで、彼が黒幕だと気づいていたのでしょうか?

眞島さん:わかっていたと思います。ただ、相手は一橋家ですから、軽々しいことは言えません。だから、死の直前で混乱しているように装い、わざと家斉に「家基」と呼び掛けたのです。

――演じているとき、どんな感情になりましたか?

眞島さん:いつもは将軍の品格を保つため、感情をストレートに出さないように演じていました。それまで家治は、治済を呼び出して問い詰めることもできず、いろいろ我慢して生きてきたのだと思います。だから最期ぐらい、治済に一言何か言って一矢報いたいという思いで僕は演じました。そんな場面がないと、家治も報われません。

――最期のシーンで、演出からディレクションはありましたか?

眞島さん:台本では、死の直前、治済のところまで這っていくと書いてありました。家治が横になっていた場所は一段高くなっていたので、段差があるなかで這うのは大きな演技になります。その動きが大変なので「できそうですか?」と演出が気遣ってくださったのですが、僕は当日ヤル気満々で現場に来ていたので、やりましょう、と(笑)。森下先生が家治のために書いてくださったので、演じたかったのです。きっと劇的な雰囲気に仕上がっていると思います。

生田さんは爽やかな好青年

――最期、治済の表情はどう思いましたか?

眞島さん:ずっと不気味で、何を考えてるのか読めませんでした。視聴者としてドラマを見ていても、そう感じています。

――生田斗真さんと対峙されたご感想は?

眞島さん:ふだんの生田さんは好青年なのに、あのような役柄なので、そのギャップの相乗効果でより不気味に見えてしびれます。現場では、いつも生田さんは爽やかで、笑顔がとてもステキな方です。

――渡辺謙さんとの共演はいかがでしたか?

眞島さん:謙さん主演の『独眼竜政宗』が初めて見た大河ドラマでした。テレビドラマを初回から最終回まで見たのもあの作品が初めてで、僕の原点です。そんな熱い想いは照れくさくて謙さんには言えませんでしたが(笑)、今回、意次と絆を感じられる役を演じられて本当に幸せでした。

幕末の人物を演じてみたい

――今回は四度目の大河ドラマご出演でしたが、いかがでしたか。

眞島さん:大河ドラマは常に重厚感があり、錚々たる方々がいらっしゃるので、役者としてワクワクしますし、負けないぞという気持ちも強く持って毎回臨んでいます。今回も謙さんや石坂浩二さんなど大先輩方から大きな刺激を受けました。特に時代劇での居住まいが素晴らしく、収録中はいつもその姿を目に焼き付けたいと思っていました。

――将軍役を演じられたご感想は?

眞島さん:将軍役は初めてで、衣装や小道具も豪華で特別感があり、これほど立派な役は今後の役者人生にはないかもと思いながら演じていました。ただ、一視聴者として見ていると、江戸市中は活気があっていいなと思います。特に憧れているのは、忘八たちの集まり。楽しそうですよね(笑)。

――今後、どんな歴史上の人物を演じてみたいと思いますか?

眞島さん:幕末が好きなので、二年後の大河ドラマ『逆賊の幕臣』に出てくる幕閣の人物を演じてみたいです(笑)。出身が山形なので、幕府側には特別な思い入れがあります。眞島が演じたいと言っていたとぜひ広めてください(笑)。

眞島秀和(ましま・ひでかず)さん 1976年生まれ、山形県出身。ドラマや映画、舞台などで活躍。主な出演作に、連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』、ドラマ『ハゲタカ』『海峡』『サギデカ』など。映画『青~chong~』『心に吹く風』などで主演、『スーパープレミアム カラスになったおれは地上の世界を見おろした。』『しょうもない僕らの恋愛論』などで主演。大河ドラマは『天地人』『軍師官兵衛』『麒麟がくる』に出演。 (ライター・田代わこ) <あわせて読みたい>

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