16V、モロッコ空軍向けのBlock72が初飛行に成功

台湾が新規発注したF-16C/D Block70は大幅な納入遅延に直面し、10月2日に2機のF-16C Block70がようやく台湾へ到着したが、モロッコが新規発注したF-16C/D Block72も大幅な納入遅延に直面しており、ロッキード・マーティンは6日「モロッコ空軍向けのF-16D Block72が初飛行に成功した」と発表した。

参考:Lockheed Martin Announces First Flight of Morocco’s First F 16 Block 72

ロッキード・マーティンは2017年「テキサス州フォートワースでF-35を増産するため、同じ敷地にあるF-16の最終組立ラインをサウスカロライナ州グリーンビルに移転する」と発表、2017年11月にイラク向けのF-16IQ(Block 50/52ベースの能力制限バージョンでAIM-120やAIM-9Xを運用できない)最終号機を出荷した後に移転が始まり、17ヶ月後の2019年4月にグリーンビルの最終組立ラインが稼働を始めてF-16C/D Block70/72(マーケティング上の名称はF-16V)の生産が始まった。

出典:Lockheed Martin

2019年4月までにバーレーン(16機)とスロバキア(14機)から、2020年4月までにブルガリア(8機)、台湾(66機)、モロッコ(25機)から、2023年にもブルガリアから第2バッチ分として追加発注(8機)が舞い込み、最初に受注したバーレーン向けの納入開始は2020年に予定されていたものの、COVID-19流行の影響で9ヶ国470社(主翼、垂直尾翼はIAIが、中央胴体、後部胴体、コックピット構造、コックピット側面パネルはPZLが生産を担当)で構成されるサプライチェーンが大混乱に陥って納入開始は大幅に遅延してしまう。

2026年4月にペルーから12機(12機の追加発注も計画中)の発注を獲得し、2026年9月時点でバーレーン(16機)、スロバキア(14機)、ブルガリア(8機)向けの納入はほぼ完了しているが、台湾、モロッコ、ブルガリアの第2バッチ分は依然として大幅な納入遅延に直面しており、台湾向けのBlock70は複座型のF-16D(機体番号6831)が2025年3月にグリーンビル工場から出荷され、12月29日の初飛行を経て2026年6月にフォートワースに移動したものの台湾への移動は始まっておらず、単座型のF-16C Block70×2機(機体番号6727と6728)が10月2日に台湾へ到着した。

出典:賴清德

台湾の次に納入順位が高いモロッコも状況は同じで、Africa Intelligenceは7月「モロッコ政府がF-16C/D Block72の納入遅延についてロッキード・マーティンに賠償を求めると表明した」と報じ、ロッキード・マーティンは6日「モロッコ空軍向けのF-16D Block72が初飛行に成功した」「これは同機の初納入に向けて飛行試験を進める上で重要なマイルストーンだ」と発表したものの、ここからモロッコへの納入には1年以上かかる可能性が高く、台湾の例に倣えば2027年後半にモロッコへ到着するぐらいのスケジュール感だろう。

ちなみにバーレーン、スロバキア、ブルガリア、台湾、ペルーが発注したのはGE製のF110を搭載するBlock70で、モロッコだけがP&W製のF100を搭載するBlock72を選択し、台湾はF100を搭載するF-16A/B Block20をF-16V構成にアップグレードしたのでBlock70とBlock72の両方を保有している格好だ。

Morocco’s first @LockheedMartin F-16 Block 72 aircraft has taken flight in Greenville, South Carolina. The milestone marks another step toward delivering the most advanced F-16 configuration to the Royal Moroccan Air Force.

— Lockheed Martin News (@LMNews) October 6, 2026

ギリシャ、ポーランド、韓国もF100を搭載する機体をF-16V構成にアップグレードしたので緩く言えばBlock72を保有していることになるものの、新造機のBlock72を選択したのはモロッコだけで、既存機のBlock 52+もF-16V構成にアップグレードするためモロッコ空軍の運用するF-16はBlock72に統一される。

Block70のF110-GE-129とBlock72のF100-PW-229の最大推力はどちらも約29,000lbf級だが、ドライ推力はF110-GE-129(約17,000lbf)よりもF100-PW-229(約17,800lbf)の方が若干大きいので推力重量比が優れているものの決定的な能力差はなく、両社のエンジンは空気流量の要求値が異なるため機首下のエアインテーク形状と大きさが異なり、この点がBlock70とBlock72の一番わかりやすい差かもしれない。

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※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin

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