ジャパンファーストは排外主義ではない

政治Asian mother and girl relaxed in the park.

ネットでは参院選の選挙運動の最中に「ジャパンファースト」つまり「日本人が一番」というキャッチフレーズを掲げた候補者やネットで発言する人々が叩かれていましたが、これを単なる排外主義と切り捨ててしまうのは論点がズレていると思います。

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私は特定政党を支持しているわけではありませんし、排外主義を推進する意図もありません。

基本的に外国人であっても日本に溶け込む意志があり能力のある人は日本に来てもらって活躍してもらえばよいと考えています。

これは私が能力主義を信条とするリバタリアンであり市場主義の人間だからです。

各個人は自分の能力にあった働きをし、社会に貢献をすることが人類の発展には重要だと考えています。

したがって何人だからとか人種は何だからということでその人の能力を否定するのは間違っています。

しかしそのような有能な人々が能力を発揮することには周囲のコミュニティとの調和も含まれています。

地域社会の発展を願うのであれば周りの人々の意図を汲み取り、その地域の伝統や調和を保つことが重要です。調和がなければ能力を発揮できませんし、バランスの取れた発展は不可能です。

日本の人々はあまり意識していませんが実は世界では「地元ファースト」が当たり前です。

つまりこれはどういうことかというと、地元にいる人を優先しそのコミュニティの調和や発展を重要視するということです。

もちろん経済発展や科学技術の発展、そのコミュニティの人々の幸福を増大するようなことを妨害するという意味ではありません。

あくまでそのコミュニティの人々全体の幸福を願うということです。

これは人権擁護や自由の尊重と矛盾していません。

しかし地元のコミュニティにいる人々をないがしろにし、コミュニティの調和や慣習を尊重せず、バランスの取れた経済発展を進めないような外国人は歓迎されません。

例えば地元のゴミ出しルールやコミュニケーションの仕方を無視したり、地域の伝統や歴史を尊重しない、地元に元々住んでいる方々と仲良くしようとしない、自分たちだけのコミュニティを作ってしまいそこに全く異なる習慣や考え方を持ち込んで孤立しようとする。

それでは地域の調和を乱しますし、バランスの取れた地域の発展は不可能です。

和を保つという考え方は日本だけの話ではありません。海外も全く同じです。したがって地域の発展を阻害する人は歓迎されないのです。

これが「地元ファースト」の考え方の根源であり、真の意味での「ジャパンファースト」です。

実際に海外に住んだことがある方であれば分かりますが、大半の国や地域では「地元ファースト」が当たり前です。

例えば私が留学していたアメリカは、多民族国家であり移民国ですが、外国人はアメリカはもとい、地元コミュニティに同化することが求められます。

英語を話して当たり前、アメリカ人的なライフスタイルを身につけるのが当たり前、そして学校や地域の行事では国旗が掲げられ国家に忠誠を誓うのが当たり前の行為です。

移民の子供が軍隊に入ったり、アメリカ国民であることを強調するのも当たり前です。

アメリカは元々「アメリカファースト」です。それに疑問を抱く人は超少数派です。多様な外国人や移民で成り立ってきた国だからこそ「地元ファースト」でなければ国が崩壊してしまいます。

欧州も似たりよったりで、日本の人はイタリアやスペイン、フランスの地元愛や地元文化優先、愛国心には正直言ってドン引きすると思います。

イタリアは特に外国に興味がある人は少なく、移民はイタリア人というよりも「地元民」なりきることが生活の様々な場面で「要求」されます。

その同調圧力は日本では想像できないレベルです。

多様な移民がいるイギリスも、なんだかんだいって地元に代々住む人は「イギリスファースト」です。

例えばイギリスの学校では植民地時代の暗部は教えませんし、延々と大英帝国の偉業や王について教えます。宗教も文学も音楽もイギリスファーストなので日本のように様々な国の音楽を教えることはありませんし、ドイツやフランスの文学さえ無視に近いのです。

中国や台湾、メキシコ、ペルー、ブラジル、ナイジェリア、インド、ロシアやタイだって自国ファーストです。

ではこれらの国は排外主義でしょうか?

実際はそうではありません。例えば中国には様々な民族がいますし、地域によって言葉も文化も全く違うのです。ブラジルやナイジェリアだって実に多様です。ロシアにも様々な民族がいます。しかし国をまとめるために「自国ファースト」なのです。外国人を優先するというような国はありません。

これが世界各国の現実です。したがって日本で「ジャパンファースト」と叫ぶことは別におかしなことでもないわけです。

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