【日本市況】株は上昇、春闘への期待と円下落で輸出株買い-債券高い
14日の日本市場では株式が上昇。トランプ米大統領の関税政策が世界景気に悪影響を及ぼすとの懸念から下落して始まった後、春闘の回答集計結果に対する期待などから買いが優勢になった。為替相場が円安に振れたことで、自動車や電機といった輸出関連株が高い。
連合は14日、2025年春闘の第1回回答集計結果を公表する。ブルームバーグの最新のエコノミスト調査によると、昨年とほぼ同水準の5%程度の賃上げ率が見込まれている。
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円相場は1ドル=148円台半ばに下落。米国のつなぎ予算案成立への期待で市場心理が改善し、円の重しになった。債券は前日の米長期金利の低下を受けて上昇した。
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国内株式・為替・債券の動き- 東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比0.6%高の2715.85
- 日経平均株価は0.7%高の3万7053円10銭
- 円は対ドルでニューヨーク終値比0.6%安の148円63銭-午後3時半現在
- 長期国債先物6月物の終値は前日比39銭高の138円14銭
- 新発10年債利回りは2.5ベーシスポイント(bp)低い1.52%
株式
株式相場は上昇。トヨタ自動車の株価は一時2%超値上がりし、三菱UFJフィナンシャル・グループなど銀行株も高い。
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、取引開始後に円安が進み、特に輸出企業にとって追い風になったようだと指摘。最近の日本株の下げを買いの好機と捉える向きもいるかもしれないと話した。
同氏はまた、春闘の回答集計結果に対する期待も市場のセンチメントの押し上げ要因になっている可能性があると述べた。ただ、米国の関税や欧州による報復関税を巡る懸念は残っているとし、日本株が完全に反発したと判断するのはまだ早いとの見方を示した。
為替
円相場は1ドル=148円台半ばに下落。米国のつなぎ予算成立への期待感に加え、事業会社の決済が集中する実質五・十日(ごとおび)に伴うドル買い需要も意識された。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、米つなぎ予算の話のヘッドラインに反応し、追随のドル買い・円売りが入ったと指摘。週末のアジア市場でポジション調整を促した可能性もあると述べた。もっとも、米政府機関の閉鎖懸念でドルが売られてきたわけではないため、欧米市場でもこの流れが続くかは懐疑的との見方を示した。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは「引き続きリスクは円高方向」としながらも、投機筋の円買いポジションもそろそろ限界に近く、「円に買い疲れ感も出てきている」と述べた。
債券
債券相場は上昇。先物は米長期金利が時間外取引で上昇したことや、日本銀行の奥野聡雄企画局長の発言が材料視されて一時下落に転じたが、切り返した。
日銀の奥野局長は衆院経済産業委員会で、名目金利から物価変動の影響を差し引いた実質金利のマイナスが「預金の実質価値を押し下げていることも十分に認識している」と述べた。
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三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、奥村氏の発言について、来週の日銀金融政策決定会合でのタカ派的な情報発信への連想が働き、一時的に売り材料視された可能性があると語る。一方、相場を押し上げた要因としては、石破茂首相による自民党議員への商品券配布問題で、政局混乱により日銀の金融政策正常化が遅れる可能性が意識されたのかもしれないと話した。
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新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債 0.835% 1.125% 1.520% 2.270% 2.590% 2.930% 前日比 -2.0bp -2.5bp -2.5bp -0.5bp -1.0bp +0.5bpこの記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。