トランプ大統領のベネズエラ攻撃で「アメリカを支持する人」が知らない事実(ダイヤモンド・オンライン)
「まさか中国じゃなくてアメリカが!?」。年明け早々、世界を揺るがせた米軍のベネズエラ攻撃。「中国の現状変更はダメだが、アメリカはOK」というダブルスタンダードは、なぜまかり通るのか? 実は、この歪んだ「親米反中」の先に待っているのは、かつて日本を破滅に導いた「親独」の悪夢と同じ、”第二の敗戦”かもしれません。(ノンフィクションライター 窪田順生) ● これまでと真逆のスタンス? 高市政権のダブルスタンダード 「おいおい、中国がやるかと思ってたらお前がやるんかい!」 新年早々、高市早苗首相は心の中でトランプ大統領にこんなツッコミを入れたに違いない。 昨年末、中国が台湾を囲むような形で軍事演習を行った際、日本政府は「緊張を高める」という懸念を中国側に伝えた。台湾問題について日本は一貫として「対話による平和的な解決」を呼びかけ、「武力による現状変更は認められない」ということを発信してきたからだ。 しかし、そこから年が明けた1月2日夜、「対話もへったくれもない武力による現状変更」に世界が度肝を抜かれた。アメリカがベネズエラに軍事攻撃を行ったのである。 空爆などで軍事基地やレーダーなど防空システムを破壊したのち、ヘリコプターで首都カラカスに到着した部隊がマドゥロ大統領の邸宅に突入して、妻と共に身柄を拘束したのだ。 1月4日にパドリノ国防相はこの攻撃で多数の兵士と民間人が殺害されたという声明を発表。7日時点の報道では死者は75人にのぼるという。 国連が「国」として認めていない台湾周辺で軍事演習をした中国に「懸念」を伝えておいて、ベネズエラという主権国家に入ってガチの軍事攻撃をして人命まで奪った国になにも言わないというのはさすがに筋が通らない。
そこで高市首相はメディアから「この攻撃には正当性はあるのか」などと見解を問われているのだが、ムニャムニャと言葉を濁してやり過ごしている。無理もない。アメリカの肩を持つようなことを言えば、日本政府がこれまで世界に発信してきたことと180度逆のスタンスになるからだ。 ただ、ロイターの報道によれば、なんと政府内では「日本は今回の攻撃を支持するべきだ」という関係者もいるそうだ。(アングル:高市氏、米ベネズエラ攻撃の評価保留 政府内に支持求める声も 1月5日 ロイターhttps://jp.reuters.com/economy/CFNYU3PPEJJA7OCH5K66L3CZSE-2026-01-05/) 背景にあるのは「アメリカは解放者」という声だ。トランプ大統領も、マドゥロ大統領は独裁者で多くの人を殺して、悪政で国民を苦しめてきたと正当性を主張している。 また、国外に逃げているベネズエラ国民や、国内の野党勢力など一部国民からはアメリカの軍事行動を歓迎する声も一定数あるという。こういうニュースを聞けば「アメリカ支持を表明すべき」という意見を唱える人がいるのもわからんでもない。 そこに加えて、国際政治の専門家によれば、今回の攻撃支持をすることは「中国へのけん制」につながるので日本の国益にかなう、という意見もある。 拘束されたマドゥロ大統領は「親中」で知られている。そこに加えて、トランプ大統領が次の軍事作戦のターゲットとして言及した隣国コロンビアのペトロ大統領も「親中」だ。 そして、そのコロンビアの隣国、パナマ共和国にはパナマ運河がある。ここは現在、香港の企業を通じて中国が港湾運用権を持っているので、トランプ大統領や米共和党が「奪還」を悲願としており、米資産運用大手ブラックロックなどの企業連合が運用権の取得に動いている。 つまり、今回の軍事作戦は、アメリカが喉から手が出るほど欲しいパナマ運河の確保に向けて、周辺諸国の中国の影響力排除という“裏ミッション”があるのではないかというのだ。 中国の脅威に共に立ち向かっている同盟国・日本としては、早々に「アメリカ支持」というフラッグをたてておいたほうが、中国がビビって台湾侵攻の抑止力になるというのである。