米銀行株は下げ止まり、S&P500上昇-堅調な地銀決算で信用不安和らぐ

17日午前の米国株式市場では、銀行株が下げ止まった。朝方発表された地銀の決算が堅調で投資家心理が改善し、前日の急落から持ち直した。S&P500種株価指数もプラス圏で推移している。

  トゥルイスト・ファイナンシャル、リージョンズ・ファイナンシャル、フィフス・サード・バンコープが発表した決算では、いずれも引当金がアナリスト予想を下回った。これを好感し、3行の株価は午前の取引で軒並み上昇している。

  アライ・ファイナンシャルも好決算を発表。自動車ローン需要が引き続き堅調であることを示し、低所得層の消費動向を巡る懸念を一部和らげた。

  またトランプ大統領が中国との関税応酬は持続可能ではないとの見方を示し、米中対立への懸念が後退したことも相場を支援している。

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  前日には、ザイオンズ・バンコープやウェスタン・アライアンス・バンコープを中心に地銀株への売りが膨らみ、S&P地方銀行セレクト・インダストリー・インデックスは6.3%急落した。両行が商業用不動産ローン投資ファンド向け融資で不正の被害を受けたと発表し、信用不安が高まった。

  ポーラー・キャピタル・グローバル・ファイナンシャルズ・トラストのファンドマネジャー、ニック・ブリンド氏は「今回の損失は特異的とみている。貸し手は審査プロセスを引き締める必要があるが、それ以上の広がりを示す証拠はない」と指摘。「前提条件が変わらなければ、この売りは一時的なものになるとみている」と語った。

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  金融市場では前日の米地銀急落前から、米自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスと自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループの経営破綻を受けて警戒が高まっていた。

  ジンジャーのレナード・コーエン最高経営責任者(CEO)は、「投資家が論理的に懸念を抱くのは当然だ。こうした局面では常に、リスクの所在を完全には把握できていないという不安がつきまとう」と述べた。 

  一方、アナリストの間では、地銀株の売りはすでに行き過ぎとの見方も出ている。ベアードのアナリスト、デービッド・ジョージ氏はザイオンズの投資判断を「中立」から「アウトパフォーム」に引き上げた上で、5000万ドル(約75億円)の損失に対して時価総額が10億ドル余り減少したのは「過剰だ」と指摘した。 

  RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ジョン・アーフストロム氏は「地銀は現在、潜在的な損失に備えて十分な引当金を積んでおり、2023年以降は資本水準も引き上げている」とリポートに記した。

原題:Bank Stocks Steady as Earnings Ease Credit Fears After Rout (1)Stocks Rise as Trump Soothes Wall Street Nerves: Market Wrap(抜粋)

— 取材協力 Georgie McKay

(アライ・ファイナンシャルの決算などを追加し更新します。)

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